マレーシアと日本 強権政治の排除へ連携を

主張

 マレーシア総選挙で野党連合が勝利し、知日家として知られるベテラン政治家のマハティール氏が首相に復帰した。

 ナジブ前政権は、中国が提唱する広域経済圏構想「一帯一路」を積極的に受け入れ、中国の協力による巨大インフラ整備を進めてきた。マハティール氏はこれを「不健全」と批判して勝った。

 一帯一路は、安全保障上の勢力圏拡大も視野に入れた中国の国家戦略である。受け入れ国に過剰債務を負わせ影響下に置く手法などの問題がある。それへの危機意識が支持を広げたとも言えよう。

 マレーシアは、安倍晋三政権の掲げる「自由で開かれたインド太平洋戦略」に欠かせないパートナーでもある。多くの日本企業が進出し、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)にも参加する。

 マレーシアとのさらなる関係強化への好機としたい。

 政権交代は1957年の独立以来初めてだ。民主主義の成熟過程にある東南アジアで、民意によって政治が動く。民主化定着に弾みをつけてもらいたい。

 ナジブ前政権の強権的手法や汚職体質には、有権者の不満が大きかった。有力野党を活動停止としたり、「反フェイクニュース法」で異論を封じたりしたためだ。

 東南アジアでは、総選挙を前に野党を排除したカンボジアのフン・セン政権や、タイの軍事政権などでも強権政治がはびこる。

 背後には中国の影響力増大がうかがえる。強権や人権軽視を批判することもせず、勢力圏拡大のために都合良く支援している。いかに食い止められるか。

 高齢のマハティール氏は、1~2年先にアンワル元副首相に首相の座を譲るとしている。同性愛行為の罪で服役中だったアンワル氏は、国王の恩赦で釈放された。ただし両者はかつての政敵だ。新政権の先行きは楽観できない。

 マハティール氏は1980年代、90年代の高度成長期、マレーシアのかじ取りにあたり、通貨危機などの困難を切り抜けた。したたかで老練な政治家だけに、実際に行う外交では中国との現実的な関係も模索すると考えられる。

 そうしたなかでも、日本との良好な関係をいかに構築していくか。強権政治を排除するため、ともに行動していくという共通の目標を持てるよう、安倍政権の側からも働きかけてほしい。