東芝メモリ売却 着実に収益源を育成せよ

主張

 東芝が半導体メモリー子会社の売却をめぐり、中国当局から独占禁止法の承認を取り付けた。

 これで主な国で必要な手続きが完了し、再建計画通りに日米韓連合に対して売却する。米原子力事業の巨額損失などで毀損(きそん)した財務基盤の回復にめどがつく。

 だが、本体の経営立て直しはこれからが本番である。稼ぎ頭のメモリー事業を切り離すことで、経営の縮小均衡は避けられまい。新たな収益源の育成が何より急務である。

 東芝はこの半導体事業の売却先の決定で迷走を重ね、市場を大きく混乱させた。企業統治の機能強化はなお途上だと厳しく認識し、着実な事業再構築を通じて信頼の回復に努めなければならない。

 子会社「東芝メモリ」を、米投資ファンドを中心とする国際連合に6月1日付で2兆円で譲渡する。今年3月末までに売却の予定だったが、米中の通商摩擦の激化を背景に中国による審査手続きが遅れていた。中国の認可が得られなければ、売却を見送る可能性も検討していたという。

 世界の半導体事業は厳しい競争にさらされている。とくに東芝メモリは本体の経営不振で研究開発や設備投資が停滞し、技術者の海外流出も懸念されている。設備投資などの遅れを取り戻し、日本発の半導体技術の生き残りを目指してもらいたい。

 問題は企業再生を本格化させる東芝の経営である。半導体を切り離し、当面は社会インフラ事業や原発事業などに注力する方針というが、いずれも収益力は弱い。インターネットを使ったインフラ監視など、収益の確保に向け新規事業の強化が欠かせない。

 昨年末、海外の投資ファンドに増資を引き受けてもらい、負債が資産を上回る債務超過から脱した。これらの投資家は「物言う株主」として今後も経営陣に厳しい注文を突きつけよう。不当な株主還元要求などは毅然(きぜん)として排除しなければならない。

 経営再建にあたっては不断の経営改革が重要だ。とくに東芝は、収益を優先するあまりに全社的に不正会計に手を染め、市場の信頼を裏切った。風通しの悪い社風が米原子力事業の巨額赤字の見逃しにつながった。

 過去の反省を踏まえ、社内の意識改革を徹底しなければ、真の企業再生などおぼつかない。 <2018.5.19>