【主張】武田の大型買収 世界に確かな存在感示せ - 産経ニュース

【主張】武田の大型買収 世界に確かな存在感示せ

 真のグローバル企業として世界を相手に確かな存在感を示すことができるか。経営手腕が問われる挑戦である。
 国内製薬大手の武田薬品工業が約6兆8千億円を投じ、アイルランドの製薬大手、シャイアーを買収することで同社と合意した。
 日本企業では過去最大規模のM&A(合併・買収)となる。武田は世界の製薬業界で上位10社の仲間入りを果たし、国際市場での勝ち残りを目指す。
 日本が人口減少社会を迎える中で、世界の成長を取り込もうと日本企業による海外企業の大型買収が増えている。だが、買収先の舵(かじ)取りが難航し、買収による統合効果をうまく発揮できていない事例も見受けられる。
 それだけに今回の大胆な経営判断に対する注目度は高い。グローバル化を目指す日本企業にとり、大型買収のモデルとなるような成果を生み出してもらいたい。
 世界の製薬業界でも大型買収が相次いでいる。新薬開発には多額の費用と時間がかかるため、相手企業が持つ技術や販路などを買収で一気に手に入れる競争が激しくなっているからだ。
 一方、日本では高齢化の進展で医療費が増加し、その抑制に向けて薬価引き下げが続く。業界予測では国内製薬市場は、2016年度の10兆円から22年度には8兆円に縮小が見込まれるという。
 このため、武田は海外に活路を見いだすことにした。利益率の高い希少疾患治療薬に強いシャイアーは新薬候補も多く抱え、米国市場が売り上げの中心を占める。武田は同社の買収を通じて新たな収益源と米国市場の獲得を狙う。
 ただ、大型買収の実現には、武田の株主総会で了承を取り付けなければならない。株主からは巨額買収に不安の声も上がる。買収費用の回収懸念などで同社の株価は大きく下げている。将来の成長などの成算を株主に対して説明を尽くし、理解を得てほしい。
 日本企業による昨年の海外企業のM&A件数は、670件余と過去最多を記録した。だが、東芝の米ウェスチングハウス買収は、1兆円の損失を計上し、東芝の経営を揺るがす事態となった。その後も日本企業による海外企業買収で損失の計上が頻発している。
 海外投資に対するリスク管理の徹底や投資基準の明確化などが重要なのは言うまでもない。