柳瀬氏の国会招致 なぜ区切りをつけられぬ

主張

 「加計学園」の獣医学部新設をめぐる問題に、いまだに区切りをつけることができない。

 衆参両院の予算委員会で柳瀬唯夫元首相秘書官が参考人招致に応じ、関係者との面会を認めていなかった従来の答弁を修正した。

 浮き彫りになったのは、政権中枢で働く高級官僚が、国会で不誠実な受け答えを重ねていた点である。

 獣医学部新設を実現した国家戦略特区は、省庁の岩盤規制に政治主導で穴を開ける制度だ。首相秘書官が、特区を活用したい関係者と会うこと自体に問題はない。

 にもかかわらず事態がこじれるのは、隠さなくてもよいことを隠そうとするからだ。ひいては「嘘をついている」とみられる。

 安倍晋三首相の指示があったという具体的証拠は示されず、贈収賄など違法性を帯びた問題も指摘されていない。なぜ、柳瀬氏はかたくなに否定し、今になって認めるのか。

 証拠も示さずに騒ぐ野党の行動は非生産的だ。同時に、政府与党側の誤解を招く対応も、北朝鮮危機や重要法案に全力で取り組めない現状をもたらしてきた。

 招致以前の国会答弁で、柳瀬氏は愛媛県や同県今治市職員との面会について「記憶の限りでは会っていない」と否定していた。

 参考人招致では、平成27年に加計関係者と3回面会したことを明かした。県と市の職員には覚えがないとしつつ「随行者の中にいたのかもしれない」と釈明した。

 加計関係者との面会を長く伏せていた理由は、国会から聞かれなかったからだという。経緯をきちんと説明するとした首相の方針に反するのではないか。

 愛媛県の言い分とも食い違う。県は、県職員が27年4月の面会時に柳瀬氏からもらった名刺を公表した。中村時広知事は、県職員がメインテーブルで県の立場を述べたと説明し、「嘘は他人を巻き込む」と柳瀬氏を批判した。異例の事態というしかない。

 衆参予算委の集中審議が14日に行われる。本来は北朝鮮危機などを重点的に論じる場だが、首相は柳瀬氏の面会などで生じた誤解を解く姿勢も示すべきだ。財務官僚のセクハラ問題でも政権としての明確な判断を見せてほしい。

 多数にあぐらをかき、漫然と構えていては、国民世論のしっぺ返しをくらう。