北朝鮮危機 「非核化」の溝はなお深い

主張

 北朝鮮核危機をめぐる関係国の動きがめまぐるしい。習近平中国国家主席と金正恩朝鮮労働党委員長が異例の再会談を行ったかと思えば、直後にはポンペオ米国務長官が平壌入りした。

 この間、トランプ米大統領は習氏と電話で協議し、東京では安倍晋三首相らが日中韓サミットを開いた。

 米朝首脳会談を見すえた駆け引きの面が大きい。一連の動きから浮かび上がってくるのは、北朝鮮の非核化という中心テーマをめぐる溝の深さである。厳しい現実を直視しつつ、日本は米国との連携を強めるべきだ。

 日米両国が求めているのは、北朝鮮から世界の平和を脅かす核・弾道ミサイルなどを取り除くということである。金氏はいろいろ述べているが、この要求に直接、応じる姿勢は見られない。

 北朝鮮への影響力を強めたい中国は、東アジアにおける米国の力をそぎたい狙いもあり、金氏を後押ししている。

 外交デビューした金氏はカメラの前で盛んに微笑(ほほえ)んでいるが、独裁者の計算ずくの振る舞いとみるべきである。油断しては、日本国民の安全が損なわれる。

 安倍首相は、日中韓サミットの冒頭のあいさつで「北朝鮮による全ての大量破壊兵器およびあらゆる弾道ミサイル計画の完全な、検証可能で不可逆的方法での廃棄」を目指すと表明した。拉致問題の早期解決も訴えた。

 これは日米両国の北朝鮮への要求と同じだ。このことの実現によってしか、日米など諸国民の安全と平和は確保できない。

 北朝鮮が繰り返しているのは「朝鮮半島の非核化」により「世界の核軍縮に協力」するということだ。自らの核武装を前提としている。そのうえ「段階的、同時並行的措置」を求めている。制裁解除などの見返りを先に与えることは容認できない。

 核兵器に劣らず危険なミサイル、生物・化学兵器の廃棄に北朝鮮は言及しない。捕らえていた米国人の解放には応じても、日本人の拉致問題は無視している。

 習氏は金氏との会談で「段階的措置」を支持した。日中韓サミットでは李克強中国首相が参加して北朝鮮の「完全な非核化」を目指すことを確認した。二枚舌に等しいではないか。対北融和の流れを断ち切るべきである。