イランと米朝会談 脅威排除する真の合意を

主張

 トランプ米大統領によるイラン核合意からの離脱表明は、米国との非核化交渉を控えた北朝鮮に向けた強いメッセージとなったはずである。

 現行の核不拡散体制は、米英仏露中を「核兵器国」とし、それ以外の国の核兵器保有を禁じている。ましてやテロを支援し、広域を射程に収める弾道ミサイルを開発、保有する国々が、核兵器を手にすることは絶対に認められない。

 トランプ氏は「米国はもはや口先だけの脅しは言わない」と強調し、核合意離脱表明はイランだけでなく北朝鮮の金正恩体制に対する「極めて重要なメッセージだ」と述べた。

 米朝首脳会談の主眼は、核をはじめ、化学、生物の大量破壊兵器と、その運搬手段である弾道ミサイルの完全廃棄だ。米国はこれを譲らない。金正恩政権はそう強く認識すべきである。

 トランプ氏が指摘するイラン核合意の「欠陥」は、核開発制限が2025年以降、段階的に解除される点や、ミサイル開発制限が含まれていないことなどにある。

 米朝首脳会談に臨むトランプ氏に求めたいのは、北朝鮮の非核化交渉では将来、「欠陥」を指摘され、批判を受けるような合意を作らないことだ。複雑な条件作りは不要である。核・弾道ミサイルなどの脅威を取り除き、拉致問題を解決することだ。

 イラン核合意は、米欧の厳しい制裁下、ウラン濃縮や査察など核開発制限をめぐる細部を詰めた。困難を極めた交渉をまとめ、イランの核開発に当面の歯止めをかけたことでは評価に値する。

 ドイツのメルケル首相がトランプ氏に合意維持を促すため言った「完璧ではないが、今後の礎になる」が的を射ている。ただ、「欠陥」の指摘も誤ってはいない。

 問題は今後、どのようにイランの核開発を阻止していくのか、トランプ氏がその展望を示していないことだ。米国の制裁復活で十分というわけではあるまい。

 重大な懸念は、中東情勢の泥沼化に拍車がかかることである。

 イランは、シリアのアサド政権を支援しての内戦関与など、中東情勢を複雑にする要因を作っている。米国の合意離脱を支持したイスラエル、サウジアラビアなどとの対立が先鋭化する恐れもある。関係各国は、自制に努めなければならない。