TPP拡大 機運逃さず早期の発効を

主張

 自由貿易を推進する多国間連携をいかに強固なものとするか。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の参加国拡大はそのための布石となる。

 タイのソムキット副首相が茂木敏充経済再生担当相に対し、TPP参加の意欲を表明した。TPPを成長の礎とする日本にとって心強い動きである。情報交換を緊密に行い、これを積極的に後押しすべきだ。

 コロンビアや台湾、英国、インドネシア、フィリピンなどもTPPに関心をみせている。トランプ米政権の保護主義的な動きや、中国の不公正な貿易慣行とは一線を画す重要な潮流といえよう。

 この機運を逃さぬためにも、米国を除く11カ国で合意したTPP11の早期発効を果たしたい。

 折しも、今国会が19日ぶりに正常化し、TPP関連法案の審議が始まった。6カ国以上が議会承認などを終えることがTPP11の発効要件であり、与野党は着実に審議を進めてほしい。それは、TPP11の交渉を主導してきた日本に求められる当然の責務である。

 同時に問われるのは、日米首脳会談で合意した新たな貿易協議の場で、いかにTPPの成果を反映させられるかである。

 加盟国の広がりが、米国にTPP復帰を促す材料になるとの期待はある。だが、よほどの好条件でなければ復帰しないというトランプ大統領が、にわかに翻意するとみるのも現実的ではない。

 そんな中でも粘り強くTPPの意義を訴え続けるべきだ。安倍晋三首相は「TPPが最善」と述べた。これを貫く必要がある。

 米国の顔色をうかがい、TPP加盟国より有利な貿易条件を米国に与えるのでは、米国復帰を視野に入れて各国を糾合した日本の背信と受け取られるだろう。

 参加国の拡大はTPP11の発効後となる。タイは今後、国内調整を経た上で年内にも正式表明する見通しだ。多くの日本企業が生産拠点を築くタイの合流は日本にも有益なものとなろう。

 加盟国以外の合流機運は以前もあったが、米離脱後に急速にしぼみ、代わりに各国が目を向けたのが中国だった。それが再びTPPに戻ってきたのである。

 中国の覇権主義的傾向を牽制(けんせい)する上で、高度な自由化と先進的なルールを備えたTPPという枠組みは有意義だ。これも米国に訴えるべき重要な論点である。