2040年の危機 集落の「撤退戦」も考えよ

主張

 2040年代初頭の日本は、高齢者の数がピークに達するだけでなく、80歳以上が総人口の14%超となる。その多くは1人暮らしだ。

 就職氷河期世代が十分な老後の蓄えがないまま年齢を重ねると、この頃には低年金者や無年金者の増加が懸念される。他方、出産可能な女性数は減るため、社会の支え手の激減は避けられない。

 総務省の有識者研究会が、40年頃の地方自治体が直面する課題と対応策を第1次報告としてまとめた。少子高齢化を「未曽有の危機」と位置づけたのは、決して大げさな認識ではない。

 こうした社会を乗り切るためには、目の前の成果や利益ばかりを追い求める風潮を断ち切ることが不可欠となる。

 残された時間は25年を切っている。対策を論じるだけではなく始めなければ、この時代の社会の混乱は避けられないだろう。

 必要なのは中長期の視座に立った政策への転換だ。とりわけ政策の立案に携わる国会議員や官僚、地方自治体の首長などには危機感の共有を求めたい。

 行政機能の在り方は大きく見直していかざるを得ない。

 いまだ大型開発を進める自治体が見られるが、今後は職員の確保すら困難となる。目指すべきは効率化やコンパクト化だ。

 報告は、各自治体がフルセットのサービスを提供し続けることの難しさを指摘し、圏域を超えた自治体連携や役割分担を促した。都道府県との二層制を柔軟化することにも言及した。

 いずれも一考に値する。だが、相変わらず既存自治体の維持が前提となっている印象だ。

 人口維持が見込めない集落の「撤退戦」など、タブー視されがちな政策にも踏み込まざるを得ない段階に入ってきている。

 集住エリアを定めて地域内移住を求める一方、行政サービスを届ける範囲を狭めていくことを考えるべきだ。

 これまでのやり方を維持せんがために無理を重ねるのは限界がきている。人口が減ることを前提として社会の仕組みを根本から変えるときだ。

 かなり柔軟な発想で臨まなければ、「未曽有の危機」は乗り越えられない。だからこそ、6月の最終報告では、さらに踏み込んだ提言を期待したい。