徴用工像の阻止 文氏は慰安婦像の撤去も

主張
釜山の日本総領事館前への設置を阻止された「徴用工」の像(名村隆寛撮影)

 韓国・釜山の日本総領事館前の徴用工像の設置が阻止された。市民団体や労働団体が今月1日の設置を目指していたが、多数の警官隊が動員され、食い止めた。

 韓国政府もやればできるのである。文在寅政権は、残る慰安婦像も責任を持って撤去してもらいたい。

 周囲は団体側の怒声が響くなど混乱したという。設置の阻止は当然としても、安全で静かな環境が守られるべき在外公館の間近でこの騒動は異常である。改めて韓国政府は重く受け止めるべきだ。

 徴用工像は、朝鮮半島からの動員を「強制連行」などと非難し、日本に謝罪と補償を求める反日運動の象徴である。

 今回、像設置を阻止したのは日中韓サミットで文大統領の訪日を控えた配慮だとの見方もある。

 韓国政府は、事前に関連法令に従い必要な措置を検討するとしていた。よもや覆すことはあるまいが、訪日中だけ法を守って「阻止」するようでは困る。

 国際法と国同士の約束を順守すべきだ。ソウルの日本大使館前と釜山の日本総領事館前の慰安婦像も直ちに撤去してほしい。

 文氏が自ら反日運動を助長してきたことを見逃すことはできない。大統領就任前、釜山の慰安婦像を訪れる反日パフォーマンスをした。就任後も慰安婦問題の最終的解決をうたった日韓合意に関し「解決には時間が必要」などと発言したのは耳を疑った。

 昨年8月には徴用工問題などを蒸し返し、北朝鮮との南北共同の調査に言及した。日韓の亀裂を生むだけである。

 戦後補償問題は昭和40年の日韓協定で解決済みであるのに、韓国の歴代政権が持ち出してきた。国内の不満を「反日」に振り向けるのは、韓国の常套(じょうとう)手段ともいえる。だが、そのたびに国家としての品格を落としているのだ。

 日本をおとしめようという「歴史戦」は続く。そのなかでフィリピンのマニラに中国系団体などが設置した慰安婦像が撤去されたのは朗報だ。

 この像をめぐり、政府はドゥテルテ政権に懸念とともに、アジア女性基金や歴代首相の手紙など慰安婦問題の取り組みを伝えた。その成果といえよう。

 黙っていては嘘が広がるだけである。いわれなき非難や不法を放置して信頼と連携は築けない。