【主張】訪日外国人 「郷に従う」の呼びかけを - 産経ニュース

【主張】訪日外国人 「郷に従う」の呼びかけを

 日本を訪れる外国人の数が空前の勢いで増えている。一方で日本のマナーへの理解不足から、各地でトラブルも目立つようになった。
 快く外国人をもてなすには、マナーや習慣への理解をいかに深めてもらうかもカギとなる。訪日外国人の数を増やすことにとどまらず、日本の観光戦略の次の課題といえよう。
 外国からの観光客が多い京都市では、「京都のあきまへん」と題する英語と中国語のリーフレットを配布している。
 イラスト入りで注意喚起しているのは、むりやり舞妓(まいこ)の写真を撮らない、畳に土足で上がらないなど、日本人にとっては常識的なことがらである。だが、実際にこうしたマナー違反があり、市に多くの苦情が寄せられた。配布後は減ったという。
 奈良市の奈良公園一帯では、シカに餌のせんべいを与える際、写真撮影のため、じらされたシカから、外国人がかまれる事故が増えた。これもまた「じらさずにすぐちょうだい」と英語や中国語で注意を促す看板を4月に立てた。
 トイレの使用をめぐるトラブルも各地で起きている。静岡県では富士山に登る外国人向けに、トイレにごみを捨てないことなどを、数カ国語で呼びかける啓発グッズを作成した。
 日本を訪れた外国人は昨年、2800万人を超え、過去最高となった。同時にさまざまな弊害も生じ、「観光公害」という言葉も使われている。
 電車で大声で話す、道路を占拠するように歩いたりたむろしたりする外国人のグループに遭遇した人も少なくないだろう。
 トラブルの多くは、マナーに属することがらである。自治体や観光団体が啓発に努めるのはもとより、時には一般の人が注意してあげることもあってよいだろう。決まりや習慣が分かれば、素直に従ってくれることも多いはずだ。
 政府は、2020年に4千万人の外国人旅行者を呼ぶことを目標に掲げている。6月15日には住宅宿泊事業法(民泊新法)が施行され、民泊が本格的に解禁される。外国人観光客の増加は全国的なものとなる。
 肝心なのは、日本人と外国人の双方が快適に過ごすことだ。数を増やすだけでなく、マナー周知で双方が笑顔になれるような観光大国を目指したい。