神鋼品質不正 再発防止に資する捜査を

主張

 アルミニウムや銅製品などの品質データを改竄(かいざん)していた神戸製鋼所を、東京地検特捜部と警視庁が合同で捜査中だ。

 改竄には、虚偽表示などを禁じた不正競争防止法違反の疑いがあるとみているのだろう。産業界を揺るがした品質不正は、刑事事件に発展する可能性が出てきた。

 この問題は、日本の製造業に対する世界の信頼を失墜させた。捜査当局は品質不正の全容を徹底的に解明してほしい。産業界の再発防止にも必要となろう。

 神鋼は顧客と約束した品質水準に達していない製品について、遅くとも1970年代から国内外600社以上に販売していた。中には、利用者の安全に直結する自動車や航空機向けの部品なども含まれていた。

 不正発覚後の点検で出荷した製品の安全性に問題はなかったという。しかし、日本のものづくりへの定評を傷つけた責任は重い。

 同社は国内外における20以上の工場や子会社で品質データを改竄したり、検査自体を実施せずに数値を偽ったりしていた。原発にも一部で部品が使われ、その安全検査のため、再稼働が遅れるなどの影響が出ている。

 すでに神鋼は、前経営陣が引責辞任して新社長が就くなど、再出発を切った。ただ、一連の不正には過去の役員2人や40人以上の社員が関与し、執行役員も黙認していたことが判明している。組織ぐるみともいえる不正に対し、徹底した捜査が欠かせない。

 不正製品の出荷先は、その3割以上を海外向けが占める。米司法省でも米航空機大手のボーイングなどに神鋼製品が使われていたとして調査を始めている。こちらにも同社は全面的に協力しなければなるまい。

 調査報告書の中で、不正に手を染めていた社員らは「品質をある程度逸脱しても、安全性には問題がないと認識していた」と釈明している。あまりに勝手な言い訳である。神鋼は40年以上も顧客との信頼関係を裏切ってきたのだ。その回復には、何より社員の意識改革が求められるだろう。

 三菱マテリアル子会社や東レ子会社による品質データ改竄も発覚した。自動車では日産自動車やSUBARUの検査偽装が表面化した。自らの商品の価値を貶(おとし)める行為の愚かさについて、産業界はいまいちどかみしめてほしい。