ウイグルが鳴らす日本への警鐘

葛城奈海の直球&曲球

 中国によって奪われた独立を取り戻すべく戦っているウイグル人組織のひとつ、「東トルキスタン亡命政府」の大統領で、詩人でもあるアフメットジャン・オスマン氏にお話を伺う機会を得た。

 現在、中国・新疆ウイグル自治区と呼ばれる東トルキスタンは、中国の一帯一路構想の一部であり、石油と天然ガスの大産地だ。

 この地で、中国はこれまで50回近い核実験を行い、彼らの文化を奪い、「民族浄化」を続けている。

 90万人近い人たちを強制収容し、ウイグル語の使用を禁じたばかりか、街中に監視カメラを備え付け、住民の行動を厳しく監視している。

 こうした非人道的な仕打ちに耐えかねたウイグル人が実力行使に及べば、国際社会は「テロ」と非難する。

 だが、同氏は、「自分の『国』を守る行為がテロなのか?」と問いかける。

 彼自身、帰国したら国家分裂の罪で死刑は免れない。国を失うとは、こういうことなのだろう。

 「自衛隊・防衛問題に関する世論調査」(平成29年度・内閣府)によると、外国から侵略された場合に「一切抵抗しない(侵略した外国の指示に服従し、協力する)」と答えた人は、驚くべきことに6・6%もいるのだ。

 彼らは、ウイグルでの現実、さらには「日本が外国から侵略される」などという事態を、ひとかけらでも想像できないのであろう。

 ウイグルはこれまで3度、武装蜂起のチャンスを逃した。「4度目に備えて準備しています」と柔和な笑みの奥に覚悟をのぞかせた。

 作家の三島由紀夫を尊敬するという同氏は、「(日本は)憲法を改正して自衛隊を国防軍にすべきでは」と語った。

 単なる自衛隊明記云々(うんぬん)ではなく、独立国の軍隊として本質的に戦える組織にということだ。

 「ウイグルは、日本に警鐘を鳴らすことができると思います」

 迫り来る侵略の手に毅然(きぜん)と立ち向かわなければ、どうなるか。他山の石とすべきであろう。

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【プロフィル】葛城奈海

 かつらぎ・なみ やおよろずの森代表、防人と歩む会会長、キャスター、俳優。昭和45年東京都出身。東京大農学部卒。自然環境問題・安全保障問題に取り組む。予備役ブルーリボンの会広報部会長、林政審議会委員。著書(共著)に『国防女子が行く』(ビジネス社)。