【清水満のスポーツ茶論】プロ野球と男子ゴルフに見る、プロフェッショナルなファン対応  - 産経ニュース

【清水満のスポーツ茶論】プロ野球と男子ゴルフに見る、プロフェッショナルなファン対応 

10日の巨人戦で100セーブを達成したDeNAの山崎康晃=東京ドーム(撮影・今野顕)
 先週の巨人戦(10日、東京ドーム)で通算100セーブを記録したDeNA・山崎康晃(25)。新人1年目から大役を託され、スターになったが、その姿勢は常に謙虚である。
 「こんにちは…」
 グラウンドで何度か会う程度だが、礼儀正しく、いつも笑顔を浮かべている。気軽にファンのサインに応じる姿もよく見た。そんな男が信念としていた思いを聞いたことがある。
 「結果が出ないときなんて(ファン対応が)おっくうになることもあります。けど、やらなかったらファンに対して、プロとしてどうかな?って思う」
 DeNAが2012年から球団経営に乗り出してから観客動員は飛躍的にアップした。昨年は約198万人と横浜時代(11年)に比べ約80%増。球場をアミューズメントパーク化し、イベントを充実させるなど企業努力もある。だが山崎のような『きめの細かいファン対応』を、選手たちが日頃から積み重ねたことに原点がある気がする。
 いま球界全体にプロフェッショナルなファン対応を感じる。昨年のセ、パ両リーグ観客動員数は2513万9463人。過去最高だったのもうなずける。
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 同じプロスポーツ。男子ゴルフでは、深刻なファン離れに危機感を持った男がいた。石川遼(26)。今季から史上最年少で選手会長に就任した。
 先週「東建ホームメイトカップ」(三重)でやっと国内ツアーが開幕。選手会長は、(1)選手に積極的にサインを促す(2)ギャラリーの前での公開選手インタビュー(3)土曜日のプロアマ開催…。新企画を披露したが、プロローグにすぎない。真の主張は別にあった。
 「一番に力を入れたいのは選手の意識向上です。これがないとファンサービスは成り立たないんです」
 残念ながら過去、何度となく嫌な光景を見た。
 ある日、選手にチビっ子ファンが駆け寄って色紙を差し出した。するとブスッとした表情を見せ、色紙を手で払いのけた。悲しそうな顔のチビっ子がいた。
 またあるとき、ファンを振り切り、ダッシュしてクラブハウスへ戻る選手、ファンの存在に気づかぬふりをする者、仮にサインに応じても視線を合わさないことも…。いずれもスコアが悪かった選手たちのシーンだが、何ともやるせない。
 ごく一部の愚かな行為も朱に交われば赤くなるがごとく、全体のイメージを下落させる。
 会長就任以来、いろんな人に意見を聞いた。日本男子ゴルファーのイメージは世間から見れば、決して良くなかったことを知った。
 「たとえ僕が悪者になってもいいと思っている。主張します。とにかく変えていかなきゃ…」
 選手の意識向上こそ石川の決意なのである。
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 07年、彗星(すいせい)のごとく現れてツアー優勝。救世主になった。6年ぶりに日本ツアーに戻って、今度は重責を背負わされたが、他に候補者はいない。“プロフェッショナルなファン対応”を背中で見せるしかない。ちょっと気の毒な気もするが、それも宿命なのかもしれない。
 冒頭でDeNA・山崎の信念を書いた。しかし、よくよく考えればプロとしては当たり前な思考である。石川が言っていた。
 「ファンが来てくれなければ、僕らはただのゴルフがうまい男の集団なんです。それではダメでしょ」
 おっしゃる通りである。