熊本地震2年 耐震化の先送りは禁物だ

主張

 熊本、大分両県に甚大な被害を及ぼした熊本地震から2年が過ぎた。

 地震による建物の倒壊や土砂崩れで命を落とした直接死は50人、被災後に医療機能の低下や過労、ストレスなどが原因で亡くなった震災関連死は200人を超える。

 犠牲者の冥福を祈るとともに、復興を支える意思を新たにしたい。熊本地震の教訓を防災力の強化につなげることが大事だ。

 一連の熊本地震は平成28年4月14日夜、熊本地方を襲ったマグニチュード(M)6・5、最大震度7の地震から始まり、28時間後の16日未明にはM7・3の地震で再び震度7が観測された。活断層で起こる直下型地震としては過去に例のない連鎖を起こし、活動域は阿蘇地方、大分県にも及んだ。

 昭和40年に建てられた宇土市役所の庁舎は崩落寸前となり、行政の拠点としての機能を失った。熊本空港はターミナルの天井崩落で運航不能に陥った。避難所としての活用が見込まれた学校の体育館が、照明の落下で使えなかったこともある。

 自治体の庁舎、学校、病院や交通機関は、災害から住民の命を守る拠点である。強い揺れにも持ちこたえるだけでなく、災害時に住民を守れる安全性も確保する必要がある。

 建物が古く耐震性に問題があることが分かっていながら、財政事情などから対策を先送りにしている施設はないか。照明や棚などの安全性は万全か。全国の自治体、公共機関は改めて検証してもらいたい。

 民間ビルや家庭も同じだ。

 東京都はこのほど昭和56年5月以前の旧耐震基準で建てられた建築物の耐震診断の結果を公表した。それによると、震度6強以上の激しい揺れで倒壊の危険が高いビルが156棟、危険ありの95棟を加えた「危ないビル」は対象の約3割に上る。

 いつ起きてもおかしくないとされる首都直下地震の切迫性を考えれば、建て替え計画や構想がある建造物でも、耐震補強などの対策を直ちに行うべきである。

 家庭でも自宅の耐震診断や補強の先送り、見送りは禁物だ。火災予防のための感震センサーの設置や家具の固定、食料の備蓄など「できることは全部やる」という意識を強く持ち、災害への備えに万全を期したい。