【主張】南シナ海 中国の「力の支配」許すな - 産経ニュース

【主張】南シナ海 中国の「力の支配」許すな

 中国の習近平政権は、軍事力をかざして覇権を追求する強国路線をとる。それを、南シナ海をはじめとするアジア太平洋の海にまで及ぼそうとしている。
 国際法を無視して造成した人工島の軍事化を進める南シナ海で、中国海軍が大規模な実弾演習と習国家主席の観閲を伴う観艦式を実施した。
 空母「遼寧」や新型潜水艦を含む艦船48隻、軍用機76機、約1万人の将兵が観艦式に参加した。これに先立ち、「遼寧」を含む艦隊は実弾演習を行った。
 習氏は観艦式の演説で「世界一流の海軍を建設」し、「断固として国益を守る」ことを命じた。
 18日には中国は台湾海峡でも軍事演習を行う。高官の相互訪問を促す米国の「台湾旅行法」の成立など最近の米台関係緊密化の流れに反発したものとみられる。
 軍事力を露骨に誇示し、南シナ海などの「支配」を認めさせ、国威を高めることができると思っているとしたら稚拙である。
 南シナ海で人工島を造成し、軍事基地化を進める中国の行動は国際法に反すると、ハーグの仲裁裁判所が2016年7月にはっきりと裁定している。中国は提訴国のフィリピンのドゥテルテ大統領を経済力で懐柔しているが、それにより人類共通の国際ルールが覆ったわけではない。
 中国が南シナ海の複数の人工島に電波妨害装置を設けた問題も明らかになった。中国国防省の報道官は「必要な国土防衛施設」と強弁している。だが、そもそも人工島が中国の領土のわけもない。
 日米を含む多くの国が経済上、軍事上の海上交通路(シーレーン)とするのが南シナ海である。日本の国益にとっても極めて重要な海であり、中国が覇権をほしいままにすることは認められない。「法の支配」の及ぶ「平和で自由な海」に戻す必要がある。
 中国の王毅外相が15日に来日する。河野太郎外相は王氏との会談で、南シナ海などにおける中国の傍若無人な振る舞いをやめるよう要求すべきである。
 北朝鮮核危機をめぐる日中協力や、冷え込んでいた両国関係全般を改善する課題があるとしても、中国の海洋支配の問題を見過ごしては本末転倒になる。
 中国が海洋における「法の支配」に挑戦する事態こそ、世界の平和と繁栄を壊すからである。