旅は出発地が面白いことだってある

ん!?

 旅の楽しさはかなり、目的地にかかっている。景色とかグルメとか、のんびりするとか面白そうとか、あるいは「あてどなく」や「どこか遠くへ」みたいに動機が歌謡曲っぽい場合も、やっぱり行き先あってこそ。

 でも、出発地が面白いことだってある。たとえば東京・日本橋。ご承知の通り江戸時代に五街道(東海道、中山道、日光街道、奥州街道、甲州街道)の起点に定められた。橋が架け替えられても、その地位は不変。明治44年に架けられた現行の石造アーチ橋(あす4月3日が開通記念日)は重要文化財で、その真ん中には「日本国道路元標(げんぴょう)」も設置されている。

 現在でも、日本の道路はここから始まるというわけだ。国道1号(~大阪市)、4号(~青森市)、6号(~仙台市)、14号(~千葉市)、15号(~横浜市)、17号(~新潟市)、20号(~長野県塩尻市)の起点になっている。

 橋上はかなり交通量が多くてセンターライン上の道路元標に近づくのは命がけになりかねないが、幸い橋のたもとに複製が設置されている。各地の都市までの距離を書いた里程標なんかもあって、わくわくしてくる。行き先自由のスタート地点。

 東海道の旅は、小欄でも時々紹介してきたが、路線バスを5日間で21路線乗り継いだ。静岡の由比宿(五十三次の16番目)までたどり着いたものの、残念ながらその先の路線がつながっていなくて、あえなく敗退。

 でもここに立つと、道なんてたくさんあるよね、という気分になる。橋のそばから南千住駅行きの都バスにも乗れることにも気づいた。日光・奥州街道編がいつでもスタートOK。思わず乗りそうになったけど、待て待て。また路線バスというのも芸がない。いっそ歩いてみるとか? 無理か?(篠原知存)