【風を読む】どんな世界に住みたいか 論説副委員長・榊原智 - 産経ニュース

【風を読む】どんな世界に住みたいか 論説副委員長・榊原智

習近平国家主席=北京の人民大会堂(共同)
 日本国民は、どのような世界で暮らしていきたいのか。
 自由と民主主義、基本的人権、法の支配-。
 これらの基本的価値観がまがりなりにも尊重される世界が、戦後日本の独立と繁栄の基盤だった。当たり前すぎて、所与と化していたが、国民はそろそろ、この基本構造の大切さに気づくべきだろう。
 日本がこれからも繁栄し、国民が自由を謳歌(おうか)する世界を保ちたいなら、それなりの努力を払わねばならない時代になった。
 煩わしいかもしれないが、内政だけではなく外交安全保障の分野においても、そうである。
 それを怠れば、私たちはもとより、子や孫の世代も、住みづらい世界を嘆いて日々を送ることになりかねない。
 国民の目は今、内には「森友学園」をめぐる問題に、外には北朝鮮核危機に向いているが、それで十分とは思えない。
 中国の習近平国家主席による権力集中は日本でも報じられているが、高い関心を集めているわけではなさそうだ。習氏は、国家主席の連続3選を禁ずる憲法を改正させ、終身独裁へ道を開いた。全国人民代表大会の票決は賛成2958、反対2、棄権3、習氏の国家主席再選は賛成2970、反対0だった。
 形ばかりの採決はあっても、民主主義はない。こんな結果を公表して恥じないのだから恐れ入る。共産党の支配を嫌う人々は中国にもいるだろうが、民主的に覆すすべはなく、公然と反対すれば弾圧される。
 習氏の専制は希代の独裁者、毛沢東のそれに劣っているが、日本にとって習氏の中国は毛沢東の中国よりもはるかに脅威である。基本的価値観を共有しないまま中国が台頭し、自国に都合のいい国際秩序を作ろうとしているからだ。習氏の独裁強化は、望ましい価値観とは正反対の方向へ中国が進んでいることを示している。自国民を専制支配し続けようとする習氏が、他国民に寛容であるわけもない。
 日本は民主国家なのだから、国民は、中国に対して及び腰になりがちな政府や政治家をもっと叱咤(しった)激励したほうがよい。