【風を読む】多様な地方議会を見てみたい 論説委員長・石井聡 - 産経ニュース

【風を読む】多様な地方議会を見てみたい 論説委員長・石井聡

 地方議員の兼職禁止の緩和策が、総務省の研究会で検討されている。議員のなり手がいなくなる事態を受けた対応だ。
 誤解される面もあるが、地方議員は全般的に兼職を禁じられているわけではない。「公務員との兼職」や自治体と請負関係にある会社役員が議員となることなどが許されていない。
 全国市議会議長会の調査(平成29年8月集計)では、56%の議員が農業、小売業、建設業などの「本業」を持っていた。
 注目されるのは、通常の議員とは異なる非常勤の議員を認める「多数参画型制度」の導入である。議員の都合がつくよう夜間や休日に議会を開催する。
 ここで不思議に思うのは、従来の制度下で、なぜ夜間議会を入れなかったかだ。自治体職員にとっては残業になる。それでも、勤務時間をシフトすれば対応できるのではないか。
 自治体や議会の規模にもよるが、請負をめぐる制限も、緩和によって議員のなり手が増えるなら、試す価値はある。詳しい契約内容を発表し、「自分の会社への発注」について是非を問うた方が、より透明になるという考え方もある。
 すでにさまざまなアイデアが自治体レベルでも考えられてきた。議員報酬を引き上げるのはいただけない。むしろ多数参画型をメインと位置づけ、「日当制」を充実させてはどうか。
 改革には、地方自治制度を多様化させる狙いもある。一律に型にはめる必要はない。実のある議論をし、監視機能を果たせる議会にすることこそ大事なことだろう。
 なり手が足りていても、形式的に存在するだけで、その意義を問われる議会では困る。これまでと異なるタイプの人間が参画し、しがらみのない意見を述べ合う展開を期待したい。
 他の自治体の職員に議員を兼職させる案もあるが、回りくどい。休職した自治体職員を、生活保障を与えた上で非常勤議員の中に交ぜられないか。
 地方自治の担い手確保という切実な現実がある。参院の合区に反対するだけで、基礎自治体の危機は乗り切れない。