働き方はわが身から 2月25日

産経抄
「第31回サラリーマン川柳コンクール」入選作の発表会=15日午前、東京都千代田区

 海外のジョークがある。「君のオフィスではどれくらいの人が働いているんだい?」「半分くらいかな」(文春新書『すごい言葉』から)。尋ねた側は会社の規模を聞いたつもりが、思わぬ答えに面食らったろう。

 ▼「だぶつく人手を大目に見るとは、懐が深い会社だ」「残りの社員も働けば、仕事時間は半分で済むぞ」。切り返しは人それぞれとして、日本の場合は悠長に構えてもいられない。少子化で若い人材が不足する中、かまびすしく響く「働き方改革」の大号令である。

 ▼〈人減らし「定時であがれ結果出せ」〉の愚痴があり、〈改善を提案すると業務増え〉の自嘲があった。第一生命保険が今月発表したサラリーマン川柳の入選作である。人は減る、仕事は増える。きしむ職場の哀歌がいつになく目を引くのは気のせいではあるまい。

 ▼同じ成果なら勤務時間の短い社員を評価する企業も多いと聞く。効率への行き過ぎた傾斜は、次の「哀歌」を生みはしないか。右から左へと手際のよい人もいれば、時間をかけて課題を煮詰める人もいる。社員の個性に見合う働き方への、企業の理解は欠かせない。

 ▼月末の金曜日は早く仕事を切り上げ、余暇を趣味などに振り向ける。その趣旨で導入から1年たった「プレミアムフライデー」も、普及度は低調だった。かつて「24時間戦えますか」をよしとした国に、宗旨変えに似た早期退社を根付かせるには、なお歳月が要る。

 ▼国民気質に根ざした働き方はすぐに変わるものでもない。入選作には〈制度より働き方は風土から〉の句もあった。まずは人手に見合う仕事量の設定と、仕事量に見合う人手の確保だろう。働く側とて企業の懐の深さに甘えてもいられない。句をもじれば「働き方はわが身から」。