イスラエルの強さの秘密は徴兵制 2月1日

産経抄
イスラエル軍の戦車(ロイター)

 サイバー攻撃の脅威が知られるにつれて、世界最先端の技術を保持するイスラエルが存在感を増している。『知立国家 イスラエル』(文春新書)によれば、ノーベル賞受賞者数や博士号保有数など、人口比で世界一の知的レベルを誇っている。著者の米山伸郎(のぶお)さんは、その理由の一つに独自の徴兵制を挙げていた。

 ▼イスラエル人は18歳になると、男女とも国防軍に徴兵される。ただ一律に同じ任務に就くのではない。さまざまなテストで選抜が行われる。最優秀の人材は、最新軍事技術の開発に専念するプログラムやサイバー諜報部門に採用される。彼らは兵役を終えると、大学で研究を続けたり、ハイテクベンチャーを起業したりと、活躍の場を広げていく。

 ▼徴兵制といえば、欧州各国は冷戦終結後、次々に停止してきた。ところが最近、復活の動きがある。スウェーデンでは、ロシアのクリミア併合を受けて8年ぶりに18歳の男女が11カ月の兵役に就くことになった。

 ▼フランスのマクロン大統領は、18~21歳の男女に1カ月間、軍関連のボランティアを義務づける構想を持つという。ドイツでも復活の議論が始まった。テロの続発に対して、国民の危機意識が高まっている表れである。

 ▼日本ではどうか。復活など主張すれば、たちまち袋だたきに遭うだろう。安全保障関連法をめぐっては、徴兵制とはまったく関係がないにもかかわらず、反対論者が持ち出してきた。安倍晋三首相は、強制的な苦役を禁じた憲法18条に反すると、徴兵制を明確に否定している。

 ▼いずれにしても、徴兵制は軍事研究とともに、「絶対悪」の扱いが続く。安全保障上の脅威がこれほど深刻になっている今、議論さえ許されない風潮は、やはりおかしい。