「変革期」の銀行は本当に変われるのか 論説副委員長・長谷川秀行

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 金融業界が変革期にある。メガバンクは人員削減を含む構造改革を発表し、地方銀行の再編も進む。低金利や人口減、金融とITの融合など経営環境の激変に対応し、いかに稼ぐ力を高めるか。危機感をもって将来への布石を打つ意義は大きい。

 もっとも、華々しく新たな戦略を打ち出すのはいいが、旧態依然とした銀行の体質は本当に改まるのか。そんな冷めた見方も同時に捨てきれない。

 先にトップ人事を発表したみずほフィナンシャルグループは日本興業銀行、富士銀行、第一勧業銀行の旧行意識に囚(とら)われてきた。平成12年の統合後、システム障害や不祥事のたびに統一感のない経営が批判された。

 思い出すのは、3行統合が決まった直後に取材した、ある首脳の言葉だ。「三人寄れば文殊の知恵というように、3という数字は良いことを表すことが多い。三昧(ざんまい)は、一つのことに専心する意味だ。三原色は色の基本で、気体、液体、固体の三態もある。3行統合は、直感的にうまくいく」と話していた。

 不良債権問題が深刻だった当時の業界は今以上の激変期にあった。そんな中での大型再編に高揚感もあったのだろうが、直感は願望にすぎなかった。

 今年4月にトップの座を退く佐藤康博社長は「今のみずほは最も旧行意識のない組織だ」という。その言葉を信じるとしても、旧行意識の払拭にこれほど多くの時間を要したことは、忘れてはならない教訓である。

 変革が必要なのに、なかなか変われない。それは業界全体にもいえることだ。杓子(しゃくし)定規な融資姿勢もそうだろう。将来性があっても担保や保証が十分にないと融資しない。金融庁は改革を促すが、長年染みついた融資姿勢がにわかに変わるのか。

 バブル期に大都市圏で不良債権の山を築いた地銀が、再編を機に再び大都市圏に出ようとする動きもある。かつての二の舞いにならないのだろうか。

 金融機関の安定的な経営は経済発展の基盤である。変革期の今だからこそ、真に顧客に資する、地に足の着いた経営に徹してもらいたいのである。