「なりたい職業」不人気だが…子供が政治に夢が抱ける社会であってほしい 1月6日

産経抄

 「末は博士か大臣か」。かつてはごく日常的に使われ、昭和38年上映の映画のタイトルともなったこの言葉は、とっくに死語と化したと思っていた。ところが、第一生命保険が4日発表した「大人になったらなりたい職業」の調査結果で、男の子では15年ぶりに「学者・博士」が1位となった。

 ▼学問の道を志し、また憧れる子供たちが多いのは心強い限りである。天然資源に恵まれない日本は、これからも科学立国として生き残っていかなければなるまい。近年の若者の理系志向と合わせ、ほっとするエピソードだといえる。

 ▼もっとも、「博士」は人気でも「大臣」は男女ともベスト10圏外で、政治家の不人気ぶりがうかがえる。それも無理もない。テレビドラマに登場する政治家は、たいてい国民は二の次という利権屋で、裏で悪いことをしてカネを集めるワルと相場が決まっている。

 ▼政治家の実像を知るはずのマスコミも、その仕事の中身を報じるよりも醜聞探しに熱心である。苦労して地位と実績を築き上げた揚げ句に、新聞やテレビから袋だたきに遭うのでは割に合わない。子供が目指したくなるはずがない。

 ▼こうした現状は、日本にとって不幸なことだろう。政界に有為な人材が集まらなければ、いかに科学技術で最先端を行こうと、各国との交渉、駆け引きでしてやられるのが関の山である。内政の停滞と混乱でも国力はそがれていく。

 ▼今年9月には、実質的に次の首相を決める自民党総裁選が行われる。安倍晋三首相の出馬は確実で、石破茂元幹事長と野田聖子総務相も意欲を示している。この際、ぜひ将来の日本を担う子供たちが、興味と関心を覚えるような論戦を交わしてもらいたい。政治に夢が抱ける社会であってほしい。