英国の脱欧入亜を歓迎する 1月5日

産経抄
海自の護衛艦「いずも」で、儀仗隊を巡閲する英国のテリーザ・メイ首相(中央)と小野寺五典防衛相(左)=2017年8月31日、海自横須賀基地(代表撮影)

 日英同盟が結ばれたのは1902年である。当時の日本にはまだ大型艦の建造技術はなく、多くの艦艇を英国に発注した。装甲巡洋艦「出雲」もその一つだった。「初代は日露戦争で運用されて勝つことができた」。

 ▼「安全保障の分野で、英国と日本は長きにわたって協力してきた」。昨年8月、訪日したメイ英首相は、海上自衛隊横須賀基地を訪れ、自衛隊最大級の護衛艦「いずも」を視察した。その際の小野寺五典(いつのり)防衛相とメイ首相のやりとりである。

 ▼ロンドンで先月開催された日英両政府による外務・防衛閣僚会合(2プラス2)では、安全保障協力の拡大を確認した。英国は、新鋭空母「クイーン・エリザベス」の南シナ海への派遣も表明している。「スエズ(運河)の東に戻ってくることを大いに歓迎する」。河野太郎外相は会合後の会見で、アジア太平洋地域への関与を強める英国をたたえた。

 ▼23年に失効した日英同盟復活を期待する声さえ上がり始めた。大英帝国はかつて七つの海を制したとされる。欧州連合(EU)からの離脱を来年3月に控えて、再び海外雄飛の血が騒ぎ始めたようだ。それとも孤立感の表れであろうか。

 ▼新たな挑戦は、安全保障分野にとどまらない。英紙フィナンシャル・タイムズは、英国が日本など11カ国の環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への参加を検討していると報じた。英政府は、オーストラリアなど参加国の閣僚との会談を模索しているという。

 ▼TPPは米国の離脱という最大の試練を乗り越えつつあるものの、まだまだ紆余(うよ)曲折がありそうだ。英国参加のハードルはきわめて高い。それでも、自由と民主主義という価値観を共有する、海洋国家の“脱欧入亜”の試みに注目したい。