W杯ロシア大会への期待 日本のサッカーが世界を驚かす結果を待ちたい 

別府育郎のスポーツ茶論
 サッカーW杯ロシア大会の抽選会で、日本がH組に入ったことを示す元イタリア代表のカンナバロ氏=1日、モスクワ(AP=共同)

 サッカーワールドカップ(W杯)ロシア大会の組み合わせが決まった。日本は1次リーグで、コロンビア、セネガル、ポーランドと戦う。

 コロンビアは前回ブラジル大会で完敗した相手だ。DF陣がいいように翻弄された得点王ハメス・ロドリゲスに加えて、前回は負傷欠場の点取り屋ファルカオが帰ってくる。

 セネガルは2002年日韓大会の印象が鮮烈だ。開幕戦で前回優勝のフランスを破り、旋風を起こした。トルコに延長で敗れた大阪・長居の準々決勝をスタンドで見たが、終始互いがハイテンションでピッチを駆け回り、大会のベストマッチと思えた。

 ポーランドには世界屈指のストライカー、レバンドフスキがいる。この国はこれまでも優秀なFWを輩出してきた。隣国ドイツを牽引(けんいん)したクローゼ、ポドルスキもポーランドの出身である。ドイツ開催のW杯ではそろって「結婚するならポーランド女性」と述べてドイツ女性のひんしゅくを買ったらしい。

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 日本代表の活躍を占う格好のテキストは、11月の欧州遠征で戦ったブラジル、ベルギーとの連戦だろう。ブラジルには1-3で完敗し、ベルギーには0-1で惜敗した。

 テレビ観戦で思いだしたのは、代表監督時代の加茂周さんに聞いた「ゾーンプレス」の説明だった。前線からDFラインまでを狭めて人数をかけて相手ボールを前で奪い、ショートカウンターで攻める。長いカウンターで点を取りきる力はまだないから。それが戦術選択の説明だった。

 ただし、と加茂さんはこうも付け加えた。「これがブラジルには通用せんのや。せっかく囲んでも、するりとかわされてボールを動かされてしまうから」

 前線でボールを奪ってのショートカウンターはハリルホジッチ監督の指向も同じだ。W杯アジア最終予選の豪州戦ではこれがはまった。だがブラジル戦ではネイマールが、マルセロが、日本選手の包囲網やタックルをかわし、いなし、あざ笑うように、ボールを動かした。20年前の加茂さんの懸念が、目の前の中継映像にあった。

 ブラジル戦の反省からベルギー戦は守備を固めて1失点でしのいだが、今度はボールを奪っても相手ゴールが遠い。これも加茂さんが懸念した通りだった。直前に5人、6人が猛然と長い距離を走りきるブラジルのカウンターを見せつけられたばかりで、彼我の差は依然歴然と思わされた。

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 だからW杯本番も望みは薄いと書くわけではない。コロンビアは難敵だが、前回大会ベスト8の勢いを駆ったまま後ろに不安を抱え、南米予選18試合で19失点ともろさもある。母国大会の準決勝でドイツに1-7と歴史的大敗を喫し、したたかに守備を鍛え直したブラジルとは好対照だ。

 ポーランドもレバンドフスキは怖いが、ベルギーほど前線に複数のタレントを擁しているわけではない。セネガルは日韓大会以来の出場で近年は国際大会の実績を欠く。意外や日本はW杯でアフリカ勢に勝ち越しているという、ありがたいデータもある。

 やってみなければ分からないのだ。だから面白い。加茂さんのころには一人もいなかった欧州でプレーする選手が代表の大半を占め、その中で井手口陽介ら若いJリーガーが持ち味を発揮する。日本のサッカーはここまで来たのだ。世界を驚かす結果を待ちたい。