「とんでも予想」が示唆する姿 「空のシルクロード」で中国は一段と勢い? 論説副委員長・長谷川秀行

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中国人民解放軍の施設を視察し演説する習近平国家主席=11月、北京(新華社=共同)

 年の瀬になると、国内、国際情勢がどうなるかを占う記事がメディアにあふれる。その一つに、みずほ総合研究所が先に発表した「とんでも予想2018年」という変わり種がある。

 「とんでも」という語感に惑わされてはいけない。チーフエコノミストの高田創さんによると、メインシナリオ以上に時間をかけて議論したのがこの予想だ。可能性は高くないが、実際に起これば影響が大きい。そんな観点で考えたそうである。

 例えばトランプ米大統領の支持率急上昇とか、英国が欧州連合(EU)離脱を撤回する、といった具合だ。とりわけ、なるほどと感じ入ったのが、中国に関する次の予想である。

 「航空インフラや宇宙開発などで国際協力に関する政策を集約し、一帯一路構想に『空のシルクロード』を追加」

 中国の一帯一路構想は、インフラ整備でアジアや欧州などの国々と結びつきを強め、大陸と海洋という2つの経路でシルクロード経済圏を築くものだ。

 陸、海があるなら次は空。いかにもありそうな話である。航空・宇宙産業は、中国が国家を挙げて取り組む行動計画「中国製造2025」に記された重点強化産業の一つである。

 問題は、一帯一路構想が持つ覇権主義的な色彩だ。これまでも、中国の援助で建設した港湾などのインフラが軍事転用される可能性が懸念されてきた。

 これに「空」が加わればどうなるか。宇宙開発は大国の安全保障を考える上で死活的に重要である。そこで中国が覇権を握るという、文字通りのとんでもない方向へと想像が膨らむ。

 無論、国際社会で中国の存在感が高まるかどうかは、米国の振る舞いとも密接に絡む。トランプ政権の米国第一主義に対抗し、中国がグローバル経済の旗手を標榜(ひょうぼう)する。そんな倒錯した構図が続けば、中国は一段と勢いを増すかもしれない。

 みずほ総研にならって予想してみよう。米国は来年、自国主義を封じて他国との連携重視に転じる、と。これこそ「とんでも予想」だと言わざるを得ない現実が、何とも残念である。