戦後左派の代表、国民を守る上で欠かせない仕組みを放棄させようとするのが立憲民主党だ 論説副委員長・榊原智

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 日本社会党の再来にはなってほしくない。

 有権者の判官びいきもあって野党第一党となった立憲民主党のことである。「リベラル保守」ともいわれるが、その実態は戦後左派、左翼の系譜を引き継いでいるようにみえる。

 共産党は親近感があるのだろう。衆院選で立憲民主党への協力を惜しまなかった。左派票を取られても国会の首相指名選挙で、同党の枝野幸男代表への投票を検討している。革新勢力、左派勢力の肩を持ってきた朝日新聞などのマスコミ各社も、立憲民主党には極めて好意的だ。

 戦後日本政治における最も大きな対立軸は安全保障をめぐる姿勢だった。安全保障とは相手のいる世界だ。相手が強くなったり、強硬な態度で出てきたりすれば、こちらもそれに応じて備えなければならない。

 そこで保守は相応の防衛力が必要と考えた。自衛隊を強化し、日米同盟の抑止力を高めてきた。ただし、最近まで集団的自衛権の行使を禁じていたのは同盟を壊しかねない深刻な欠陥だった。

 一方、憲法第9条をてこに日本の守りを妨げようとしてきたのが日本社会党や共産党といった左派だった。旧ソ連、中国、北朝鮮という現実の脅威を前に左派はじりじりと後退したが、防衛の充実を阻む「平和運動」「護憲運動」を続けてきた。

 立憲民主党は自衛隊は合憲という。専守防衛の下でなら自衛力の整備と日米同盟の深化を図るともいう。しかしその上で、集団的自衛権の限定行使は違憲として認めない。安保関連法から削除せよと唱えている。故意かどうかは分からないが、今、何を崩せば日本と国民を守れなくなるかの急所を突いている。

 集団的自衛権の限定行使の容認によって、日米は守り合う関係になった。それなしに、日米同盟が結束して北朝鮮危機を乗り切れるはずがない。

 数十年前の冷戦期にできた憲法解釈を優先し、国民を守る上で欠かせない仕組みを放棄させようとするのが立憲民主党であり民進党だ。戦後左派の系譜をくむといえる所以(ゆえん)である。