(6)人づくり革命 疑問を投げかける論調目立つ 読売・日経は期待感

社説検証
政府の「人生100年時代構想会議」の初会合。超高齢社会をどう描くか=今年9月11日、首相官邸(酒巻俊介撮影)

 安倍晋三政権は新たな目玉政策として「人づくり革命」を打ち出した。

 「人生100年」といわれる超高齢社会を見据え、人生のさまざまな段階での教育や雇用の在り方を見直すというのだ。安倍首相は「1億総活躍社会をつくりあげる上での本丸」と位置づけた。

 その具体策を議論する「人生100年時代構想会議」が9月に発足したことを受けて、各紙は社説に取り上げた。

 「人づくり革命」に対しては、全紙とも疑問を投げかける論調が目立った。

 産経は「人生100年時代構想会議」が教育から雇用までを議論のテーマとして取り上げたことについて、「いったい何をしたいのか輪郭がはっきりしなくなった」と指摘した。

 その上で、会議が来年前半に基本構想をまとめるスケジュールを描いていることに対して「深みのある議論など期待できそうもない」と懸念を示した。

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 「人づくり革命」自体に批判的なのは朝日と毎日だ。朝日は「女性活躍、1億総活躍、働き方改革に続く、4枚目の看板」と指摘し、「総括を欠いたまま次へ進むことを繰り返した結果、4枚の看板を4人の閣僚が1枚ずつ担うことになった。それぞれが個々の政策をどう分担し、責任を持つのかさえ判然としない」と批判した。毎日も「方向性に異論は少ないだろう」としながらも「同じ内容を別のスローガンで言い換えただけだ」とした。

 この点については産経も「構想会議の進行役は1億総活躍担当相ではなく、人づくり革命担当相が務めることになった。両者がよほど緊密に連携しなければ、齟齬(そご)をきたそう」と疑問を呈した。

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 読売と日経はどちらかといえば期待を込めた取り上げ方だ。

 読売は「手をつけるからには、長期的な問題意識を忘れず、腰を据えて取り組むべきだ」と注文した。

 日経は「成長力強化、生産性向上のためにも教育・人材投資の拡充が必要なのは言うまでもない」と評価した。

 ただ、「課題は費用対効果を考慮して、有効な政策を打ち出せるかだ」とも述べ、給付型奨学金の拡充については「広げすぎれば大学無償化に限りなく近づく」、社会人の学び直しであるリカレント教育への支援については「やり方によっては単なるバラマキ政策になる恐れがある」とくぎを刺した。

 読売、日経両紙は、安倍政権が幼児教育・保育の無償化を前面に出していることについても、政策の優先順位としての疑問を投げかけた。

 読売は「そもそも待機児童の解消など、少子化対策が総合的に進まなければ無償化の効果は限定的だ」と指摘し、日経も「幼児教育では無償化よりも、喫緊の課題である待機児童の解消を急ぐべきだ」とした。

 財源問題については産経も大きな懸念を示した。「人づくりを生産性向上にどうつなげるかの本質論抜きでは、教育の名を借りた『新たなばらまき』と呼ばれるのも当然だ」と懸念を示し、「財政上の制約は大きい。予算全体の中で教育にどれだけ優先配分するか」と問題提起した。

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《人づくり革命》

 ★こども保険

 【産経】税負担の議論を逃げるな(4/9)

 【毎日】子育て財源確保の弾みに(4/15)

 【読売】支援強化へ財源の議論深めよ(4/11)

 ★骨太方針

 【産経】目指す方向に合う教育を(6/6)

 【朝日】待機児童解消が先だ(6/11)

 【読売】人材投資の財源確保が問題だ(6/5)

 【日経】人材投資は待機児童対策を最優先せよ(6/4)

     人材投資に名を借りたバラマキを避けよ(7/5)

 ★人生100年会議

 【産経】人材育成に的を絞り込め(9/15)

 【朝日】言葉だけが躍っている(9/17)

 【毎日】看板変えて何をするのか(9/18)

 【読売】新時代の課題解決に資するか(9/13)

 【日経】人への投資は費用対効果を吟味せよ(9/14)