(4)産経「国力衰退招くな」 各紙危機感、解決策に違い

社説検証

 日本の少子化が止まらない。年頭に厚生労働省が発表した昨年の年間出生数は初めて100万人の大台を割り込んだ。4月には国立社会保障・人口問題研究所(社人研)が5年ぶりに改訂した「将来推計人口」で、2065年には総人口が約8800万人にまで減ってしまう日本の未来図を描き出した。

 国家を根幹から揺るがす大テーマであり、全紙がこの問題を取り上げた。

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 年間出生数100万人割れが報じられたのは元日付の紙面だ。これに即座に反応し、正面から論じたのが産経と毎日である。

 真っ先に取り上げたのは産経であった。1月4日付で、「あらゆる面で国力の衰退を招く」と指摘。安倍晋三首相に非常事態宣言を促した。

 取り組むべき課題として、少子化対策の強化と「出生数が減り続けることを前提とした社会づくり」の2点を挙げた。その具体策として、首相に「未来への希望」を示すよう求め、コンパクトで効率的な町づくりの必要性を論じた。

 毎日は1月8日付で、人口減少がもたらす弊害を多面的に取り上げ、「子育ては相変わらず家族に担わせてきたことが少子化を招く大きな要因となった」と断じた。その上で、未来志向の政策を大胆に実施するよう求めた。

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 これに対し、全紙がそろって取り上げたのが、4月の社人研による「将来推計人口」だ。各紙とも危機感を示したものの、その解決策には違いが見られた。

 少子化対策の強化を求めたのが毎日と読売だ。毎日は「子育てや子供の教育にかかる負担の軽減は最重要課題だ」と指摘した。

 読売は「まずは、仕事と子育てを両立できる環境の整備だ」と論じた。日経も仕事と子育ての両立を重視し、「女性の労働力を生かすという意味でも大切だ」とした。

 3紙がいま取り組むべき対策に力点を置いたのに対し、人口減少後に視点を向けたのが産経と朝日だ。

 朝日は「人口減に合わせた社会の仕組みの見直しにも取り組まねばならない」と言及した。

 産経は人口減少は避けられないとの見通しを明確に示して、「大きく減った後に、どんな社会を目指すかについてのグランドデザインがいる」と他紙と明らかに異なるスタンスで社会の作り替えの必要性を訴えた。

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 一方、人口減少対策としての外国人の受け入れについては、朝日が「大きな課題になるだろう」、毎日が「本格的な検討が必要だろう」、日経も「議論の材料のひとつとなるだろう」と積極姿勢を示したのに対し、産経は「国柄までが大きく変質しかねない」と慎重姿勢を鮮明にした。

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 《人口推計》

 ★出生数100万人割れ

 【産経】首相は「非常事態」宣言を/人口減に耐える社会目指せ(1/4)

 【毎日】深刻な危機が国を襲う(1/8)

     子育てできる政策転換を(6/3)

 ★将来推計人口

 【産経】激減後の社会に向き合え(4/17)

 【朝日】政策にどう生かすか(4/11)

 【毎日】質量共に対策が足りない(4/11)

 【読売】少子化克服へ対策を加速せよ(4/17)

 【日経】人口推計に向き合い一層の少子化対策を(4/11)