有権者は「政治」という舞台の役者を選ぶ〝審査員〟…選挙後も選んだ責任を

中江有里の直球&曲球

 衆議院が解散され、10日公示、22日投開票となった。先月末から離党、合流など政界の動きが激しいが、どこかさめた気持ちになってしまう。いくら政治家が立派なことを言っても、その本音は透けてみえるからだ。

 しかし、さめてばかりもいられない。政治は遠くから眺めるものではなく、自分たちの生活に直結する事象だ。そこで今一度、有権者として何をすべきかを考えた。

 選挙となると毎回投票率がニュースになる。近年はその低さを嘆く声が大きい。私は毎回投票所に足を運ぶが、いつも積極的に票を入れたい人がいるわけでもない。直前まで悩んで消去法で名前や党名を書くことも多い。結果的に消極的選択になってしまう。

 これまでテレビの現場で幾人もの政治家と会ったが、ほとんどの方は信念を持った魅力的な方ばかりだ。少なくとも私にはそう見えた。

 それが選挙となると、途端にその実態が見えなくなる。党や選挙制度などの事情もあるだろうが、限られた選挙運動の期間では過去の実績よりも、ともかく名前を周知するばかりになってしまうからかもしれない。

 政治家の成果は選挙の結果ばかりでなく、本来は普段の活動にあらわれるものだ。有権者はそこに目を向けて、選択すべきだろう。

 例えるなら有権者は政治という舞台に立つ役者を選ぶ審査員だ。役者不在では舞台の幕は開かない。誰かを選ぶところから政治という舞台は始まる。実際のオーディションでも、審査員は役者の普段の鍛錬を見抜き、秘められた可能性と情熱を探る。その場だけ威勢の良いことを言っても、本番の舞台ではごまかせないからだ。

 政治家も同様に普段の活動に目を向けたい。実直な人が報われてほしいのは政治の世界ばかりではないが、声の大きさや広報の巧みさに気を取られず、冷静に、論理的に選んでこその審査=投票だ。そして実際の政治の舞台に立ってからも審査は終わらない。有権者という審査員には選んだ責任がある。政治をよくするには、政治家だけでなく有権者の力こそ必要だ。

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【プロフィル】中江有里

 なかえ・ゆり 女優・脚本家・作家。昭和48年、大阪府出身。平成元年、芸能界デビュー、多くのテレビドラマ、映画に出演。14年、「納豆ウドン」で「BKラジオドラマ脚本懸賞」最高賞を受賞し、脚本家デビュー。フジテレビ「とくダネ!」にコメンテーターとして出演中。