利己的・常軌を逸脱しているような潘基文氏のゴルフのプレースタイルは、彼の言動を雄弁に物語る 李下に冠を正さず

黒沢潤のスポーツ茶論
潘基文(パン・ギムン)前国連事務総長(AP)

 前国連事務総長の潘基文(パン・ギムン)氏は在職中、ニューヨーク近郊でゴルフを通じて、母国・韓国の同胞らと友好を深めていた。「素振りはゆっくりだが球を打つとなると速い。フォームは“変則”この上ない」。こうしたスイングの持ち主である潘氏は、至る所でゴルフを楽しむ姿が目撃された。

 潘氏のプレーを見たことがあるという人物は筆者に対し、次のように語った。「僕の理解では、潘氏とのゴルフでは、マリガン(第1ホールの打ち直し)は2回許され、どのホールで使ってもいい。それも、悪球を打った後に『使う』といえる。そんなのゴルフじゃないと思うけどな…」

 この人物はこうも続ける。「第1ホールは、一番いいスコアの人と同じスコアを全員がつけられる。例えば、パーを取った人がいれば、全員がパー。そんなのは聞いたことない。“B(潘基文)ルール”というかもしれないね…」

 ゴルフは人の性格を映し出すという。プレーを存分に楽しむ素人ゴルフとはいえ、利己的、常軌を逸脱しているかのようにみえる潘氏のプレースタイルは、国連担当記者として5年間見続けた彼の言動を雄弁に物語っているようにも思う。

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 摩天楼の街、マンハッタンに位置する国連本部北側の事務総長公邸。そこを訪れた国連外交官は公邸内の様子をこう語ったことがある。

 「韓国の物品であふれ、まるで韓国物産展のよう」。公邸は世界中から賓客が訪れる場所で、国際機関のトップが自国の品を前面に押し出すかのような利用の仕方には、関係者から疑問の声が上がっていた。

 また、国連側が主催した国連本部内でのコンサートに、韓国の楽団がなぜか招待され、演奏が披露されたこともあった。「演奏したい楽団は他に数多くある。露骨に母国の楽団を優遇するのは国連の私物化。『李下(りか)に冠を正さず』というではないか」と批判も出た。

 潘氏は2015年1月、世界の首脳に先駆けて朴槿恵(パク・クネ)・前韓国大統領に年頭のあいさつをしたことがある。その直後、「自国へのあいさつは後回しにするのが常識。えこひいき」とメディアから酷評された。

 元国連外交官は潘氏について「韓国人を国連事務局の要職に数多くあてた」とやんわり批判。産経新聞元ソウル支局長が朴前大統領の名誉毀損(きそん)で在宅起訴された際、「言論の自由」の重要性を日頃強調していた潘氏は一切、母国を非難しないなど、その姿勢には常に疑問符が付けられていた。

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 その潘氏が約2週間前、南米ペルーで開かれた国際オリンピック委員会(IOC)の総会で、「倫理委員会」の新委員長に選出された。IOCは指名理由についてこう述べる。

 「事務総長として、国連で最高水準の倫理や透明性を具現した」

 選出投票では83人のうち4人が反対、棄権が5人。事務総長経験者として「非賛成」票がこれだけ出るのは珍しいのではないか。

 それでも、韓国での敬愛ぶりは変わらないとも聞く。潘氏の生家がある韓国・忠清北道陰城(チュンチョンプクトウムソン)郡。今年5月の大統領選直前には、1日500人の観光客が押し寄せた。第19代大統領就任の“夢”は破れたとはいえ、国内では「世界大統領」と尊敬され、今も立志伝中の人物として同胞から慕われているという。潘氏を慕ってやまないこうした人々を裏切らないよう、高潔な精神で新委員長の職務を完遂すべきである。