大胆すぎてこそのラグビーW杯

蔭山実のスポーツ茶論

 「ニュージーランドやオーストラリアに比べれば戦いやすいかな」。2年後に迫るラグビーのワールドカップ(W杯)日本大会。5月に決まったプール分けの結果をみて、日本代表の強化に携わっている元名選手は率直にこう語った。

 W杯の展望を聞く機会があったときのことだが、確かに「オールブラックス」や「ワラビーズ」が同じ組にいては日本初の決勝トーナメント進出に大きな壁となるのは間違いない。

 リハーサルでは日本はプールBだったという話も聞いたが、どのプールであろうと、問題はプール内の顔ぶれ。プールAに入った日本の相手で現時点で確定しているのはアイルランドとスコットランド。「ボールを動かすよりはシンプルなラグビーをする」というアイルランドは戦いやすい相手かもしれない。W杯ではさえないときも多い。

 しかし、オールブラックスの連勝をとめたと聞くと穏やかではない。偶然とはいえ、6月に来日したアイルランドに2戦2敗では心配になるばかりだ。2年前のイングランド大会で予想に反して大敗したスコットランドもなお強敵である。

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 2019年のW杯で日本はどんな戦いを求められるのだろうか。20年の東京五輪・パラリンピックに劣らず盛り上げていくのに、大会のシミュレーションも参考になるのではないかと考えている。

 そこでまた元名選手の登場となるのだが、最新の世界ランキングで11位という日本にとって最高のシナリオとはこうだ-。

 「プールAの格下の2チームに勝ち、上位のアイルランドとスコットランドのどちらかに勝って1位で決勝トーナメントに進出。そこでプールB2位の南アフリカを再び破り、プールCから勝ち進んだ、前日本代表ヘッドコーチ(HC)、エディー・ジョーンズ氏率いるイングランドと決勝進出を争う。それに勝ってニュージーランドと決勝-」

 大胆すぎるかもしれないが、これぐらい思ってこそのW杯だろう。「日本の9月はまだ暑い」とジョーンズ氏が言うように、海外勢にとってもう一つの敵は日本の気候。ほぼ番狂わせのない競技であっても何が起きるかは分からない。

 現時点ではプールAの下のチームには、この6月に勝っているルーマニアが予想されており、開幕戦は「日本-ルーマニア」がベストともいわれている。

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 イングランドと決勝を争うところまでくれば、日本全国、いやが上にも盛り上がっているだろう。そのために、ジェイミー・ジョセフHCはどうチームを仕上げていくのだろうか。

 「ロックを強くし、スタンドオフを厚くする。態勢の整っていない状態(アンストラクチャー)からの攻撃やキックを重視する。新しい人材を増やし、試合で経験を積ませ、走りながらチームをつくる」。HCを補佐する元名選手はこう代弁した。日本に行きたいと考えているチームも多く、鍛錬の場も増えそうだ。

 観客総数247万人(海外からの観客数推定46万人)▽チケット収入2億5千万ポンド(362億円)▽決勝のテレビ視聴者推定1億2千万人▽SNSでのビデオ再生回数2億7千万回以上▽オフィシャルアプリダウンロード280万回-。

 ラグビー発祥の地でもサッカーに押される時代にあって、イングランド大会はこれだけの成果を残した。W杯の準備も大胆すぎるぐらいにいきたい。