黒板前で子供たちの視線を…出勤前十数分の読み聞かせ体験

ん!?

 長男が通う区立小学校で、ボランティアの読み聞かせサークルに参加している。保護者や元保護者たちが週1回、授業前の読書タイムに教室で子供たちに本を読む。出社前の十数分の寄り道。今年の春に勧められて始め、先週末、1学期の最終回が終わったところだ。

 黒板の前で、子供たちの視線を集めるのは不思議な感じ。怒られて立たされた子供時代の記憶がよみがえって、居心地が悪かったりもする。こっちが落ち着かないものだから、子供も戸惑いがち。誰だこいつ、って思ってるんだろうなぁ。知ってる子供には「のぶパパ」と呼ばれているが、何と呼べばいいか迷ったあげく「あの、ええと…」と口ごもる子も。「先生」とか言ってしまう低学年もいるが、先生じゃないからね。おっちゃん、とかでいいのだが。

 交代でいろいろな学年の子供を担当する。学年ごとに選ぶ本も違ってくる。十数分なので長いものは難しい。何を読むか、いつも迷う。少しでも楽しんでくれるといいけどな…と祈る気持ちで教室の扉を開ける。

 しょせんはド素人、うまくいかずに毎度落ち込むのだが、やっているうちに分かってきた。いい本なら誰が読んでも大丈夫なのだ。読み聞かせのときは、ひとりで黙読しているときより物語の力を強く感じる。一冊の本を中心に、なんと呼んでいいか分からないけど「場」のようなものができる。子供たちはぐいぐいと本の世界に入り込んでくる。こっちが詰まったり間違えたりしても、なかなか集中力を切らさない。次の言葉を待っているのが伝わってくる。するとこっちも気持ちがこもる。

 読書は個人的体験だけど、誰かと一緒に本を読むというのもまた面白い。次は何を読もうかな。夏休みのうちにじっくり選んでおこう。(篠原知存)