漢語はどんどん変わっている

ん!?

 「漢和辞典には英和辞典と同じニュアンスがあります」と教えてもらって、勘違いに気づいた。「英和」は英語を日本語で理解するために引く。で、漢語を日本語で引くのが「漢和」。日本語として漢字を日常的に使っているから混乱するのだが、漢和辞典はそもそも“外国語”を読み解くためのもの。子供のころから部首や画数を頼りにした「漢字探し」ぐらいにしか使ってこなかったからなぁ。改めてみると、中国語の発音とか漢文の用例とか成り立ちとかびっしりと書いてある。なるほど。

 少し前に、辞書編集者の何人かに話を聞かせてもらう機会があった。辞書というのは刊行したら改訂するのが宿命。言葉はどんどん変わるので、終わりはないという。

 でも漢語みたいな古いものはそんなに変わらないのでは…と思ったが、甘かった。新資料の発見などで研究が進むと意味が変わったりするそうだ。

 「たとえば『大器晩成』という言葉です。これまでは『大器はゆっくり完成する』と解釈されていましたが、古いテキストが見つかりまして、じつは『大器はいつまでも完成しない』という意味だったとわかった」

 えーっ。聞けば聞くほどに目からウロコの話が続々。

 「日本語と漢語で品詞が違うものがある。たとえば『森』は漢語では形容詞と動詞。うっそうとしている、そびえたつ…。名詞として使うのは日本独自」

 「情報を正確に扱うために、正しく言葉を使うために、辞書は必需品です。社会的使命があるからよりよいものを-と考える。単なる営利商品ではない」

 うなずいているうち、長年言葉を扱う仕事をしているのに無造作で知らないことだらけで恥ずかしくなってきた。まぁここは、私も大器晩成ってことで…あれ?(篠原知存)