連日の株価上昇の背景、企業に「解散価値」割れ回避へ対応要請 東証が働きかけ

日経平均終値が3万5901円となり、5営業日連続でバブル後の最高値を更新した=15日午後、東京都中央区(鴨志田拓海撮影)
日経平均終値が3万5901円となり、5営業日連続でバブル後の最高値を更新した=15日午後、東京都中央区(鴨志田拓海撮影)

東京株式市場での連日の高値更新の背景には、資本効率や株価を重視した経営に対する上場企業の意識が高まっていることがある。東京証券取引所が対応を促しており、企業価値向上への取り組みを開示した企業の一覧表を公表したのもその一環だ。日本企業の変化を海外投資家が好感し、投資マネーが流入して株価を押し上げている。

特にPBR(株価純資産倍率)1倍割れの企業を問題視する東証は令和5年3月末、全上場企業に資本効率の改善に向けた対応を要請。PBRは「解散価値」と言われる企業の資産価値に対して株価が割高か割安かを判断する目安だ。1倍を下回ると理論上、会社を解散して資産を分配したときにもらえる金額の方が株価より高い計算となり、株が割安に放置されていることを示す。

東証の要請を受け、自社株買いや増配、企業間で相互に株式を持ち合う政策保有株を売却する動きが広がった。5年11月にはトヨタ自動車と豊田自動織機、アイシンがグループ会社のデンソー株式の一部を売却すると発表。トヨタは売却資金を電動化などに成長投資し、資本効率の向上を図る方針を示した。トヨタは同年7月にKDDI株の売却も発表している。

このほか、日立製作所や三菱電機、アサヒグループホールディングスなども、政策保有株を売却する方針を示した。多くの政策保有株を持つメガバンクなどの金融機関も売却姿勢を見せており、資本効率改善の動きが活発化している。

政策保有株の売却は収益性の高い投資を通じた利益率向上や積極的な株主還元の強化につながる。三井住友DSアセットマネジメントの久高一也氏は「こうした取り組みがPBRや株価を上昇させ、海外投資家の評価につながっている」と指摘する。

ただ、取り組みには業界によってばらつきがある。東証によると、企業価値向上への取り組みを開示した企業は、最上位市場「プライム」の銀行業で、検討中を含めて94%に上った一方、情報・通信業や小売業は3割台にとどまった。

東証は「開示企業数には一定の進捗(しんちょく)がみられる」としつつ、今後も開示を促したい考え。投資家から支持を得られた企業の取り組みの事例集も公表する方針だ。企業価値向上の動きを一過性で終わらせず、持続的な成長につなげられるかが問われている。(黄金崎元、中村智隆)

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