東京電力福島第1原発事故による帰還困難区域だった福島県大熊町の特定復興再生拠点区域(復興拠点)の建物解体・除染工事現場で、放射能濃度を測定しておらず、汚染の恐れがある鉄くずなどを作業員が無断で持ち出し、売却したとみられることが19日、環境省などへの取材で分かった。
工事を発注した環境省によると、持ち出されたのは大熊町図書館・民俗伝承館の解体現場。大手ゼネコン鹿島などの共同企業体(JV)が約50億円で落札し、今年2月に下請けの協力企業(大熊町)が工事を始めた。
除染に伴う廃棄物の管理方法は、放射性物質汚染対処特別措置法などで規定。指定の仮置き場で放射能濃度を測り、1キログラム当たり10万ベクレル超は第1原発周辺の中間貯蔵施設、同10万ベクレル以下は県内の専用処分場に搬入する。同100ベクレル以下なら再利用できるが、仮置き場での濃度確認が前提となる。