米国とイランが「捕虜交換」 関係改善なるか

18日、イランから解放されカタール・ドーハの空港に到着した米国人ら(ロイター=共同)
18日、イランから解放されカタール・ドーハの空港に到着した米国人ら(ロイター=共同)

【ワシントン=大内清】バイデン米政権は18日、イランで拘束されていたイラン系米国人ら5人とその家族2人が同国からの出国を認められたのと引き換えに、対イラン制裁違反に関与した罪などで米国で有罪判決を受けたイラン人5人を釈放すると発表した。バイデン政権はこの合意に絡み、制裁により韓国内から動かせない状態だったイラン資産60億ドル(約8800億円)の凍結を解除しており、停滞していた米・イランの外交協議が前進に向かうかが注目される。

米国とイランには国交がないため、交渉は中東カタールが仲介した。米政府高官によると、米国人ら7人は同日、カタールの首都ドーハに移り、その後、米首都ワシントンへ戻る。7人の安全が確認された段階で米国側にいるイラン人5人には特赦が与えられる見通しだ。

凍結が解除された60億ドルについては、カタール国内の特別口座で管理。使途は医薬品や医療器具、農業関連品などの人道目的に限定され、違反があった場合は再び凍結措置がとられるとしている。

バイデン政権は、2018年にトランプ前政権が一方的に離脱したイラン核合意の再建を目指し、イランとの間接協議を進めてきた。一時は妥結直前ともいわれたが、昨年2月のロシアによるウクライナ侵略を受けた情勢の変化で頓挫。イランはその間、核合意から逸脱するウラン濃縮活動を継続している。

その中で実現した今回の「捕虜交換」合意は、両国間の一定の信頼醸成につながるとの見方がある。米高官は17日、深刻な経済危機にあるイランがこのところ、アラブ諸国の中でも中立的なオマーンなどを通じて「切迫した様子で米国に接触しようとしてきている」と明らかにした。

一方、イランの資産凍結を一部解除したことについて野党・共和党は、バイデン政権の「弱腰」ぶりを示すものだとして批判を強めている。

米、イラン資産60億ドルの凍結解除 近く「捕虜交換」

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