プロモデルはプロセッサを刷新、カメラの新機能や素材でも差を出す
これに対し、「iPhone 15 Pro」や「iPhone Pro Max」はプロセッサに「A17 Pro」を採用しており、スタンダードモデルとの差別化を図っている。A17 Proは、製造プロセスが3ナノメートルに微細化しており、トランジスタ数が190億個に拡大。機械学習の処理を担うニューラルエンジンの性能が向上し、処理能力は最大で2倍に増加している。また、GPUも5コアから6コアに増加した。
ニューラルエンジンやGPUの性能向上は、iPhone 15 ProやiPhone 15 Pro Maxで実現できる機能に直結する。例えば、プロモデルにのみ採用されたハードウェアアクセラレーションの「レイトレーシング」は、その一例だ。A16 Bionicにも、ソフトウェアベースのレイトレーシングは採用されているが、プロセッサに組み込んだことで、その速度は4倍向上し、ゲームなどのグラフィックスがより表現豊かになる。
iPhone 15シリーズ共通で初めて採用されたUSB Type-Cのスペックも、プロセッサによる差が出た。4機種とも充電はUSB PDで最大27Wだが、既報の通り、データ転送速度が大きく異なる。iPhone 15、15 PlusはUSB 2.0の480Mbpsなのに対し、iPhone 15 Pro、15 Pro MaxではUSB 3.1の10Gbpsを実現する。これは、A17 Proに専用のUSBコントローラーを搭載しているからだ。
プロセッサだけではないが、カメラ機能もプロモデルはiPhone 14シリーズから向上している部分が多い。iPhone 15 Pro Maxに搭載される、テトラプリズム型の5倍望遠カメラはその代表的な例だ。大型化のボディーを生かし、光を4回屈曲させることで5倍もの望遠を実現しており、一般的なペリスコープ型のカメラと比べるとレンズも明るい。メインのカメラはiPhone 14 Pro、14 Pro Maxと同じ4800万画素で、ピクセルピッチも実質2.44μmと変わっていないものの、センサーシフト式の手ブレ補正が第2世代に進化している。
さらに、メインカメラの画角を3つから選択可能になった。iPhone 14 Pro、14 Pro Maxが24mmなのに対し、iPhone 15 Pro、15 Pro Maxでは24mmに加え、28mmや35mmを選択することが可能。これまでもiPhoneでも、ズームリングを回してこうした画角を選ぶとメインカメラにデジタルズームがかかっていたが、iPhone 15 Pro、15 Pro Maxではそれをデフォルトとして設定でき、撮影の自由度が増している。実に細かな画角調整だが、レンズ交換式カメラを意識した機能はプロユースに応えるためのもの。静止画の「ProRAW」や動画の「ProRes」に対応しているのも、プロモデルだけだ。