昨年からロケットの打ち上げ失敗やエンジンの爆発事故が続き、これまで強みとしていた宇宙開発力の高い信頼性に揺らぎが生じていた日本。だが今月、日本の主力大型ロケット「H2A」の47号機が、短期間で強いられた改修と不安定な天候を乗り越え打ち上げに成功し、改めて信頼性の高さと技術力を証明した。緊迫の舞台裏には、成功を義務づけられ崖っぷちに立つ中のぎりぎりの決断と、ロケット技術者の長い経験に基づく「読み」があった。
失敗は絶対に許されない
「もし失敗して、H2Aの高い信頼性を途絶えさせてしまうと、日本の宇宙開発力に世界中から疑問を持たれてしまう。だからこれまで以上に、絶対に成功させなければという思いが強かった」。H2Aの打ち上げ責任者である三菱重工業の徳永建(たつる)技師長は、47号機の打ち上げを、こう振り返った。