来年11月5日に実施される米大統領選は野党・共和党候補による初の討論会が開かれ、早くも論戦が本格化している。同党で他候補を圧倒する存在感を示しているのはトランプ前大統領だ。4つの事件で起訴されながら、世論調査では共和党支持層の半数以上に支持されており、本選で民主党のバイデン大統領と再び戦う可能性が高い。トランプ氏の返り咲きはあるのか。3氏に話を聞いた。このうち、トランプ前政権でペンス副大統領の上級顧問を務めたトム・ローズ氏の話は次の通り。
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250年間続く米国政治には政敵を犯罪者にしないというルールがあった。バイデン政権はそれを破り後戻りできない危険な状況にしてしまった。トランプ氏が起訴されるごとに数千万人の米国民が「完全に政治的な起訴」とみなすのはそのためだ。
トランプ氏は選挙戦中に法廷の椅子に座っていなければならない。裁判はトランプ氏が選挙できないように日程が設定され、圧倒的に民主党の支持が強い地域が選ばれてきた。判事だけでなく陪審員も左派色が強い構成となるだろう。トランプ氏が刑務所に送られる可能性は低くない。ところが皮肉にもトランプ氏の支持率は最初に起訴された6カ月前より高まっている。