防衛省、台湾に職員常駐 有事懸念で情報収集強化

防衛省(本社ヘリから、川口良介撮影)
防衛省(本社ヘリから、川口良介撮影)

政府が対台湾窓口機関の台北事務所に防衛省の現役職員を派遣していたことが13日、分かった。複数の日台関係者が明らかにした。中国が台湾周辺での軍事行動を活発化させ、台湾海峡情勢の緊迫度が増していることを受けた措置で、情報収集を強化する。台湾にはこれまで退職した自衛官1人が駐在していたが当面、安全保障担当を2人態勢とする。

派遣されたのは、自衛官ではなく「背広組」と呼ばれる文官職員1人。今年春に着任したとみられる。政府は昨年夏にも派遣する計画だったが、産経新聞の昨年6月の報道を受けて中国側が抗議し、保留されていた。

日本と台湾の間には1972年の日中国交正常化以降、外交関係がなく、財団法人・日本台湾交流協会の台北事務所が事実上の大使館業務を担っている。駐在する各省庁の職員は同協会に出向して「民間人」として派遣される。これまでも外務省や経済産業省、警察庁、海上保安庁などは現役職員が派遣されていた。

一方、防衛省は中国の反発を懸念して現役自衛官の派遣を避け、2003年以降、将補で退職した自衛官1人を陸海空自衛隊から持ち回りで「安全保障担当主任」として派遣してきた。

だが、近年の台湾情勢の緊迫化を受け、台湾当局との意見交換を含む情報収集の強化のため現役自衛官に格上げすべきだとの声が政府自民党内で浮上。防衛省は21年末から検討を始め、現役職員とはするが文官にとどめる折衷案を計画したが、中国の抗議を受け棚上げされていた。(田中靖人)

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