最後まで聞かずに切断も 「通帳なくした」「エアコン設置して」…不要不急の119番に東京消防庁が異例の呼びかけ

東京都内の119番通報を受ける災害救急情報センター=東京・大手町の東京消防庁(酒巻俊介撮影)
東京都内の119番通報を受ける災害救急情報センター=東京・大手町の東京消防庁(酒巻俊介撮影)

熱中症などの搬送で救急車の出動が逼迫(ひっぱく)し、東京消防庁が不要不急の電話について、「最後まで話を聞かずに切断する場合がある」との異例のよびかけを行っている。東京消防庁によると、これまでに、「エアコンの設置をお願いしたい」「通帳をなくした」といった救急搬送に関係ない電話も寄せられていたという。

東京消防庁は11日、X(旧ツイッター)で、「119番は緊急通報です。問合せや相談等を119番通報すると本当に必要な緊急通報に対応できなくなる恐れがあります」とした上で、ほかの緊急通報を優先するための措置として、「不要不急の電話については最後までお話を聞かずに切断する場合があります」と発信した。

同庁広報課の担当者によると、不要不急の電話も以前までは話を聞いて相手が納得するまで説明していたが、「話を聞いた後、不急の電話と判断した場合は、ほかの機関や窓口に電話するように促し、それでも対応を依頼してくるとき、これ以上対応できないと電話を切断する」という。

不要不急の電話は、例えば、「部屋の電気が消えない」「部屋の鍵を無くしたので何とかしてほしい」「通帳を無くした」「トイレの水が止まらない」といったものもあった。

ほかにも、119番通報がつながらないからと複数の電話機でかけることもやめるよう呼びかけており、担当者は「119番通報は順番に対応しているので、複数の電話でかけても対応順は変わらない。複数の電話を別の勤務員が対応することとなり、同じ件での通報か確認するのに時間を要すことになる」と説明する。

令和4年の東京消防庁の119番受付件数は103万6645件で、前年から13万8326件増加。同年の救急隊の出場件数は前年から12万8372件増えて87万2075件で、そのうち53・4%が軽傷だった。今年は9月12日までで、すでに63万8026件に達し、救急車の出動は増加の一途を辿る。

東京消防庁は、病院か救急車か、迷った場合は、診察可能な医療機関も案内する救急相談センター(番号は「#7119」)の利用を呼びかけている。

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