ジェネリック医薬品(後発薬)の深刻な供給不足が続き、厚生労働省はこの夏、有識者会議を設置して対策の議論をスタートさせた。国は医療費を抑制するため、先発薬(新薬)に比べて安価な後発薬の利用を促してきた経緯があるが、今の供給不安は、需要の急拡大にメーカー側の体制整備が追いつかない産業構造のひずみや、薄利多売ビジネスの限界を浮き彫りにした。会議ではメーカーの再編などを含む産業構造の見直しも検討する。有効な解決策を打ち出せるのか注目したい。
薬局や医療機関への後発薬の供給不足が続いている。日本製薬団体連合会の調査によると、今年7月末時点で後発薬の32・4%の品目で出荷量を調整する「限定出荷」や「供給停止」が行われている。
糖尿病などの生活習慣病や精神疾患の治療薬といった患者が飲みなれた薬を代替薬に切り替えなければならないケースもあるが、十分な効果が得られないリスクもある。また、代わりに新薬を使うことになれば、患者の自己負担や国の医療費が増える可能性もある。
「今、国民の皆さんが服用されているのはほとんどジェネリックという状況で、私たちには供給責任がある。けれど、供給力が追いつかず、自転車操業状態なんです」。後発薬メーカーの幹部は苦しい胸の内をこう吐露する。