風力や太陽光などの再生可能エネルギーを巡り、発電施設の設置を目指す事業者に住民や自治体が〝ノー〟を突き付けるケースが目立ち始めた。景観、生態系に及ぼす影響や土砂災害への懸念などから、開発計画を撤回させたり、新税によって事実上の規制を図ったりする動きだ。脱炭素化の目標へ向けて欠かせない再エネ、その開発の秩序はどうあるべきなのか、3氏に話を聞いた。このうち、北海道小樽市長の迫俊哉氏の話は次の通り。
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北海道小樽市と余市町の山間部にある境界付近で、総合商社双日の風力発電所建設計画があった。約860ヘクタールに26基の風車を建設するもので、改変面積は約44ヘクタール。山の稜線上や遊歩道に風車を設置する計画だったが、その後、双日から中止が発表された。
この計画に対しては当初から住民の反対の声があった。昨年12月の市議会定例会では「市は、十分な影響低減がなされず住民等の理解が得られているとは言い難い状況や眺望景観上の影響が大きいと判断した場合、事業者に計画を進めるべきではないことを提言すること」などとする陳情を全会一致で採択。今年1月に双日から事業計画の環境影響評価準備書が示され、小樽市は北海道知事に対し「現状でこの度の事業計画を是認することはできない」との意見書を提出した。