【北京=三塚聖平】経営再建中の中国不動産大手、中国恒大集団が27日発表した2023年1~6月期連結決算の最終損益は330億元(約6600億円)の赤字だった。前年同期の663億元(約1兆3千億円)の赤字からは半減したものの、21年と22年の12月期連結決算の最終赤字額と合計すると2年半で6149億元(約12兆円)規模となる。
6月末時点の負債総額は2兆3882億元(約48兆円)で債務超過の状態が続いている。香港証券取引所では28日に恒大集団の株式の取引が約1年5カ月ぶりに再開したものの、経営再建に向けた見通しは立っていない。
恒大集団は8月17日、米ニューヨークの裁判所に外国企業の破産手続きについて調整する米連邦破産法15条の適用を申請した。直ちに経営破綻することはないとみられるが、再建を巡る不透明感は強まっている。
中国では習近平政権の統制強化を機にした不動産市場の低迷が長期化している。新型コロナウイルス禍や景気減速が追い打ちをかけており、恒大集団に限らず碧桂園など不動産大手に経営悪化が広がっている。不動産は中国の国内総生産(GDP)の3割程度を占めるとされるため景気への影響が大きく、金融部門が不安定化することも懸念されている。
中国人民銀行(中央銀行)は8月21日、事実上の政策金利と位置付ける「ローンプライムレート(貸出基礎金利、LPR)」の1年物を2カ月ぶりに引き下げた。中国経済の回復鈍化が想定以上に進む中、習政権は早期の金融緩和で景気を下支えしようとしている。世界経済にとってもリスクとして市場関係者が警戒を強めている。