少女たち

笠木治郎吉「花を摘む少女」

笠木治郎吉《花を摘む少女》1897-1912年
笠木治郎吉《花を摘む少女》1897-1912年

9月10日まで京都市中京区の京都文化博物館で開催中の「少女たち-星野画廊コレクションより」(産経新聞社など主催)の主な作品を5回にわたって紹介します。第1回は笠木治郎吉の「花を摘む少女」です。

着物の質感まで 見事に

花を摘む少女が背負うかごには黄色いキクの花がいっぱい。姉さんかぶりをした顔は整っていて植木ばさみを持つ手は白くすらりと花畑に伸びている。

まさに典型的な美少女が描かれたこの水彩画は、長年「謎の画家」といわれてきた笠木治郎吉の手によるもの。近年、研究が進み、横浜で画塾を構えていた師匠の矢田一嘯(やだいっしょう)と1890年に渡米、帰国後は明治美術会の会員として明治から大正時代にかけて活動していたことが分かっている。

その水彩画は、まるで油彩画と見まごうばかりの濃厚な色使いで細部まで丹念に描かれていて、画力の高さを物語る。この絵も着物や帯のしわや影を丹念に描きこみ、その質感までも見事に表現している。

今回はこの絵のほか「筏師の娘」や「網を繕う漁師の娘」なども展示され、長くその存在が忘れられてきた風俗画家の迫真の技量をたっぷりと味わうことができる。

京都で7月から「少女たち」展 画商の審美眼、厳選作品を紹介



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