1978年に開館した山梨県立美術館は、自然豊かな山梨県を象徴するコレクションとして、農民の姿を描いたことで知られる画家ジャン=フランソワ・ミレー(1814-1875)の作品を収集し、現在では油彩画12点を含む計70点を収蔵するに至りました。
これまで当館では、ミレーに関する特別展を節目ごとに開催し、様々な角度からその画業に光を当ててきました。2014年以来、9年ぶりのミレー展となる本展では、自然とともにある人の営みをテーマに描き続けたミレーの作品と、私たちと同じ時間を生きる現代美術作家の作品を展示することで、現在という視座から、ミレーの作品を見つめなおす機会として企画をいたしました。
ミレーは、コレラ禍を機にパリを離れ、バルビゾン村へと移住して、生涯同地を制作の拠点とした画家です。ミレーと同様に、私たちの社会がパンデミックを経験したことは、本展の構想に大きな影響を与えるものでした。
今回の展示に参加いただいた作家は、ファションデザイナーで、山梨県富士吉田市でも活動を行う山縣良和氏、制作地で土や水を採取して描く「泥絵シリーズ」で知られる淺井裕介氏、生活から生まれた廃材に命を吹き込み、風景を作り直す丸山純子氏、近年では各地でのフィールドワークを元に、ドキュメンタリーの手法を取り入れた映像作品を制作する志村信裕氏の4人です。
各部屋ごとに、一人の現代作家と、関連するテーマのミレー作品を展示しています。現代作家と、ミレーの作品世界のを重ね合わせるように、お楽しみいただければと思います。
(山梨県立美術館学芸員 小坂井玲)
開催概要
開館45周年記念 特別展「ミレーと4人の現代作家たち」
【会期】2023年7月1日(土)~8月27日(日)
【会場】山梨県立美術館(甲府市貢川1–4–27)
【主催】山梨県立美術館、山梨日日新聞・山梨放送
【公式HP】https://www.art-museum.pref.yamanashi.jp/exhibition/2023/939.html