新規事業を創出したい大企業とスタートアップ(新興企業)の協業を進めようと、大阪大学と三井住友銀行などは23日、異業種の知見を取り入れてビジネスモデルを革新する「オープンイノベーション」の事例や取り組みを紹介するイベントを大阪市内で開いた。協業推進に重要となるM&A(企業の合併・買収)市場の整備に複合的な課題があることなどを共有した。
イベントは阪大の「共創機構」とベンチャーキャピタル、三井住友銀、関西イノベーションイニシアティブが共催し、大手企業の関係者らが参加。資本と業務の両面からみた実践的な提携の方法や、成功するために不可欠な要因について分析した。
同銀成長事業開発部の才木篤氏がスタートアップの現状に関して講演。国内のサプライチェーン(供給網)が縦割りで構成されているケースが多く、中堅企業を中心に技術やノウハウを外部から買う土壌がないことを課題として挙げた。
スタートアップの東京一極集中を解消するため、各地域の企業による協業や資金投入の加速が重要との認識も示し、「資金調達に関する適切な企業価値の算出のほか、買い手企業の人材育成や組織設計の再構築も必要になる」と指摘した。
「協業の秘訣」がテーマのパネル討論もあり、塩野義製薬の山本美奈・バイオ創薬研究所長は「〝自前主義〟では革新的なことができないのは明らかだ。一緒に事業を進めたいスタートアップと、目指すゴール像を共有できるかどうかが重要」と語った。(井上浩平)