<独自>政府、防衛装備部品を海外移転 ルール見直し、F15エンジン念頭

防衛装備品の輸出などのルールを定めた「防衛装備移転三原則」の運用指針について、政府が武器を含む装備部品の海外移転を拡充する方向で検討に入ったことが17日、分かった。複数の政府・与党関係者が明らかにした。今後10年程度で約100機が不用となることが想定される航空自衛隊のF15戦闘機の中古エンジンを念頭に、日本の安全保障上重要な国に譲渡することで関係強化を図る狙い。

装備輸出は、現行制度では国際共同開発の場合か、安全保障面で協力関係にある国への救難、輸送、警戒、監視、掃海の5類型に限り容認される。戦闘機や護衛艦など自衛隊法上の武器は事実上、国際共同開発の場合に限られる。

エンジンを含む部品は完成品と同一に扱われ、これまで米国と共同開発したイージス艦のシステムの一部などで実績があるが、輸出先は主に米国だ。

政府はF15戦闘機約200機のうち、電子機器などを最新版に更新する近代化改修に適さない戦闘機約100機を今後約10年間で最新鋭戦闘機に置き換える方針。毎年10機ペースで不用のF15が生まれるが、1機に2基搭載されている中古エンジンは修理用として国内で保管される他に使途がないのが現状だ。

中古エンジンはF15やF16戦闘機を保有する国の軍で再利用可能で、インドネシアなど16カ国・地域で需要が見込める。戦闘機エンジンとしてだけでなく、訓練機エンジンや整備教育用での再利用も想定される。

装備の輸出拡大に向け制度見直しを進める自民、公明両党の実務者協議は14日の会合で、主要論点として5類型の拡大、国際共同開発国から第三国への移転手続きの緩和に加え、部品の輸出拡充を内々に示した。完成品と同一とする扱いを見直し、5類型以外でも個別に輸出可能とすることなどが検討されている。

一方、自衛隊装備を無償譲渡する場合は自衛隊法116条の3で「武器を除く」とされていることがハードルとなる。同規定で部品が該当するかどうかは明示されておらず、政府は自公の協議を受けて具体的なニーズに基づき対応を検討する構えだ。

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