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18世紀末から現代まで、200年に及ぶ光の美術史を辿る展覧会

ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー《湖に沈む夕日》1840年頃 Photo: Tate
ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー《湖に沈む夕日》1840年頃 Photo: Tate

本展は、英国・テート美術館のコレクションより「光」をテーマとして作品を選び、約200年間に及ぶ芸術家たちの多様な創作の軌跡を見つめる企画です。18世紀末から19世紀半ばまでの作品における神秘的な光の表現、19世紀後半の自然界における光の美しさに注目する絵画や光が照らす親密な室内空間の表象、また、光という現象をそのまま作品化したような20世紀初頭の実験的写真といった近代美術史の流れを辿ります。さらに、光と色の関係についての考察から生まれたダイナミックな戦後の抽象絵画や、電球を作品の素材として用いる彫刻や空間を変化させるインスタレーションなど、様々な作品を紹介します。

ジョン・ブレット《ドーセットシャーの崖から見るイギリス海峡》1871年 Photo: Tate
ジョン・ブレット《ドーセットシャーの崖から見るイギリス海峡》1871年 Photo: Tate

ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナーやジョン・コンスタブル、さらにはエドワード・バーン=ジョーンズといった英国近代美術史を彩る画家たち、太陽の光を捉えようとしたクロード・モネやジョン・ブレット、19世紀末のデンマークを代表する画家ヴィルヘルム・ハマスホイ、幾何学的な画面構成と色の組み合わせで錯覚を生み出す絵画に取り組んだブリジット・ライリー、光を創作の中心的な課題とする現代ドイツの最も重要な画家のひとりゲルハルト・リヒター、人間が周りの環境とどう関わるのかを問い続けているオラファー・エリアソンなど、異なる時代、そして、異なる地域で制作された約120点の作品を一堂に集めます。

ゲルハルト・リヒター《アブストラクト・ぺインティング(726)》1990年 Photo: Tate, © Gerhard Richter 2023 (10012023)
ゲルハルト・リヒター《アブストラクト・ぺインティング(726)》1990年 Photo: Tate, © Gerhard Richter 2023 (10012023)

各テーマの中で展示作品が相互に呼応するような会場構成を行い、アーティストたちがどのように光の特性とその輝きに魅了されたのかを検証します。

(国立新美術館主任研究員 山田由佳子)


開催概要

テート美術館展 光 ― ターナー、印象派から現代へ

【会期】2023年7月12日(水)〜2023年10月2日(月)

【会場】国立新美術館 企画展示室2E

【主催】国立新美術館、テート美術館、日本経済新聞社、テレビ東京、

BSテレビ東京、TBS、BS-TBS

【公式サイト】 https://tate2023.exhn.jp/


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