ロシアからの侵攻を受けるウクライナのゼレンスキー大統領が5月に来日した際に、岸田文雄首相は100台規模の自衛隊車両を提供すると表明したが、民間でも現地の支援組織を通じて日本の中古車をウクライナ軍に送る人がいる。関西在住のウクライナ人国際政治学者、グレンコ・アンドリーさん(35)だ。家族とともに自費で車を送る活動を2月に開始し、現在は多くの日本人も寄付を通じて活動を支えている。グレンコさんは「戦争を早期に終わらせるためにも軍への支援が必要」と述べ、活動への理解を求めている。
武器の次に重要
「途中で輸送が止まるなどの事態になれば、支援をしてくれた人に大きな迷惑をかけてしまう。だから最初は自分と家族の資金だけで中古車を送った」。グレンコさんは支援活動の経緯をこう説明した。
きっかけはウクライナに住む親戚からの連絡だった。軍を支援する現地のボランティア団体と交流があった親戚は、団体から「日本の車両は非常に性能がよく、ウクライナ軍でも評価が高い。ぜひ送ってもらえないか」との相談があったという。団体はウクライナ政府が公認しており、中古車を無関税で送れるということだった。
戦時中のウクライナでは、兵の移動や負傷兵の搬送、さらに民間人の避難などで車は必須。グレンコさんは「車両は戦争において武器の次に重要な物資になる。武器を送ることはできないが、民間人にできる最大限の支援になる」と考え、協力を決めた。